中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)の第3戦ポルトガルGPはなかなか劇的なものだった。中上は決勝レースを10位でフィニッシュ。今季初めてポイントを獲得した。この10位には、おそらくそのポジション以上の意味がある。というのも、中上は初日のフリー走行2回目で大クラッシュを喫し、痛めた右の鎖骨の状態をおしての出走だったのだ。

 その転倒はフリー走行2回目序盤に起こった。アウトラップを終え2周目、1コーナーにハイスピードで突っ込んだのだ。中上自身はメインストレートから下った1コーナーに入るところでマシンから離れたが、そのときに右肩を打った。右肩は問題なかったものの、右の鎖骨を痛めてしまった。

「アウトラップからフロントのブレーキディスクの温度が低いと感じていました。ストレートエンドで1コーナーへのブレーキの準備に入ったとき、フロントブレーキのタッチが少し鋭すぎたのだと思います。それでフロントブレーキの温度が急上昇して、リヤタイヤが浮き始めました。マネジメントしようとしたのですが、一瞬でした。再びタイヤが地面に触れたとき、バイクのバランスを完全に失ったんです。バイクやブレーキの問題ではないです。この状況では運が悪かったですね」

 予選日のフリー走行3回目では数周走ってピットイン。痛み止めを使ってもひどい痛みがとれず、ブレーキングでバイクをホールドすることもできない。中上はこの日、フリー走行フリー走行4回目と予選を走らないという決断を下した。この日に体を休ませ、うまくいけば決勝レースに出走できるかもしれないと考えたからだ。

 その決断は功を奏したようだった。「(日曜日午前中の)ウォームアップセッションのあと、フリー走行3回目のときより体の状態がいいとわかりました。そこで、レースに出ることを決めたんです」と言う。

 予選を走らなかったことから、最後尾グリッドからのスタート。それでも好スタートを切って、10位でチェッカーを受けた。

「体が万全ではなかったので、厳しいレースでした。でも、トップ10でフィニッシュできるとは思っていなかったので、いい日になりました。ブレーキングではバイクを抑えるのが大変だったけれど、この状態で10位でフィニッシュできてとてもうれしいです」

 厳しい週末となったカタールでの開幕戦と第2戦を経て、痛みを抱えながらも10位という結果を手にしたポルトガルGP。ヘレスで行われる第4戦に向け、少なからずよいステップになったはずだ。

2021年MotoGP第3戦ポルトガルGP決勝(6) 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)
2021年MotoGP第3戦ポルトガルGP決勝(6) 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)

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