そして、1列目と2列目に並んだ5人のドゥカティライダーに割って入ったのは7番グリッドのリンスだった。スズキといえば予選では3列目、4列目に沈んだとしても、決勝レースでポジションを上げていくレースを見せることが多い。今回のレースでは、今季もそうした強みが健在であることを物語るようだった。チームメイトのジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)は表彰台には届かなかったものの、4位でフィニッシュしている。今回の表彰台は、スズキにとって通算500回目。そしてまた、奇しくも今大会はロードレース世界選手権においてFIM、IRTA、MSMA、ドルナスポーツのコラボレーションが1992年に始まって以来、通算500戦目のグランプリだった。
リンスはレース序盤に7、8番手付近を走行し、そのときトップを走っていたミラーとは2秒ほどの差があった。しかし、そこからじわじわとポジションを上げていき、最終ラップにミラーとの3番手争いを展開して、19コーナーでミラーをかわして2位を獲得した。
リンスは「表彰台に上がれるとは思っていなかった」と、ある意味で予想外のレースだったと振り返る。
「いつもなら1周目に少しポジションを上げられるんだけど、今回はそれができなかった。だから、ハードブレーキングでフロントタイヤにかなり負担をかけて前のライダーを抜いていったんだ」
「エネアもそうだったんだけど、ミラーもオーバーテイクするのが難しい相手だったよ。すごくハードブレーキングだったから。最後の2コーナーでは全力を出した。うまくバイクを止められて、表彰台を獲得できたんだ。僕にとってもスズキにとっても素晴らしい表彰台になった。スズキにとっては500回目の表彰台だ。うれしいよ」
アメリカズGPでは2勝目を挙げたライダーが生まれ、ミラーが今季の10人目の表彰台獲得ライダーとなった。よく語られる話ではあるが、ミラーも「シーズンはまだオープンだ。本当のチャンピオンシップはヨーロッパから始まるだろう」と語る。そしてヨーロッパのグランプリは次戦ポルトガルGPから始まるのだ。
