山内氏は「ビデオゲームは本当に複雑なシステム」だと語り、その難しさを「アポロ計画よりも大変」と表現した。
「グランツーリスモは、どのピースも作るのが大変。どの部分も才能とエネルギーがつぎ込まれています。同時に大変なのはクルマやコース、エンジニアが作り出すシステムなどをキレイにインテグレートし、全体を調和させるのが大変な作業です」
「ビデオゲームに投入されている技術に“枯れた”ものはほとんどなく、生まれたてのテクノロジーや、自分たちで作り上げたものばかりなんです」
「そのため、毎タイトル同じことは起きません。毎回、新しいチャレンジになります。同じことを2度やるのであれば、1度目の経験を活かして2度目は最適化を図れますし、3度目はもっと効率的にできるようになります」
「しかし、ビデオゲームの制作は毎回ゼロから、制作体制や制作手法から全部やり直すことが多いんです。そういった面でもアポロ計画に似ていますね」
ひとりのクルマ乗りとして、そしてニュルの魅力に取りつかれたレーシングドライバーとして、グランツーリスモを生み出した山内氏。そんなゲームクリエイターが世に送り出すグランツーリスモSPORTは、ゲーム好きだけでなく、モータースポーツファンやクルマ好きの心を掴むことは間違いない。
