2014年シーズン以降のF1グランプリでは向かうところ敵なしの強さを示しているメルセデス・ベンツだが、彼らのモータースポーツにおけるこれまでの歩みは平坦なものではなかった。
みずから「自動車を発明した」と主張するメルセデスは、史上初の自動車レースとされる1894年のパリ-ルーアンにエンジン・サプライヤーとして参戦したほか、より本格的な自動車レースとして広く認知されている1895年のパリ-ボルドー-パリではトップ8がいずれもメルセデスとゆかりのある車両だった。
もっとも、当時の車両をメルセデスというブランド名で括るのはいささか無理があるかもしれない。もとはといえば、1883年設立のベンツ社と1900年設立のダイムラーが1926年に合併し、ダイムラー・ベンツとしてスタートを切ったことが、現代のメルセデスにつながる自動車メーカーとしての始まりだった。
この社名は1998年にクライスラーと提携してダイムラー・クライスラーとなったことで消滅。その後、2007年に同社との提携を解消したことでダイムラーと名乗ることとなる。そして我々にとって馴染みの深いメルセデス・ベンツは自動車メーカーであるダイムラーが手がける自動車ブランドのひとつ、というのが正しい理解なのだ。
では、“メルセデス”という名はどこからやってきたのか?