1897年に初めて当時のダイムラー車を購入した実業家兼オーストリア総領事のエミール・イェリネックは、やがてフランス・コートダジュールに暮らす富裕層にダイムラー車を転売するビジネスに着手。これが大成功を収めると、イェリネックはダイムラー車のプロモーションを兼ねて自動車レースに参戦するようになる。

 このとき、彼はレーシングカーに“ムッシュ・メルセデス(メルセデス氏)”との名前を付けたのだが、実はメルセデスはエミールの娘の名前、つまり女性名だったのである。

 イェリネックは1900年にダイムラーと販売契約を結び、自らが手がける商品をメルセデスと名付けた。この名が現代に至るまで用いられているわけだが、いずれにせよ、メルセデスの名が最初に用いられたのがレーシングカーだった事実は実に興味深い。

 彼らはその後も継続的にモータースポーツに参戦。1908年に開催された史上初のグランプリとされるフランスGPでメルセデスが優勝するなど数々の栄冠を勝ち取る。

 1914年から1918年にかけては第一次世界大戦の影響で一時的に休止したが、1921年には早くも活動を再開。1923年にあのフェルディナント・ポルシェが主任設計者に就任すると、新たなレーシングカーを開発し、1924年のタルガ・フローリオで優勝するなど国際的な活躍を見せる。

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