1932年には世界恐慌の影響で一時的にモータースポーツ活動を休止したものの、1934年には現在のF1に通ずるグランプリレースに復帰。ナショナルカラーのシルバーに塗られたメルセデスのレーシングカーは、同じくシルバーにペイントされたアウトウニオンとともにアルファロメオなどのライバルたちを駆逐していった。

 もっとも、その背景にはドイツの国威発揚を目論むヒトラー政権の支援があったと見るのが一般的だ。しかし、それだけに資金は潤沢で、勤勉なドイツ人技術者たちが先進的なテクノロジーを生み出した恩恵もあり、グランプリレースや速度記録挑戦で“シルバーアロー”は無敵の存在となる。

 しかし、軍靴の響きが迫る1939年にはまたもや活動を休止。1945年に第二次世界大戦が終結してもドイツ国内に残る戦争の傷跡は深く、モータースポーツ活動の再開はままならなかった。

 一時は消えかけた“ろうそく”に小さな火が点ったのは1950年のこと。当初は量産車を用いたツーリングカーレースへの参戦だったが、1951年には早くもレーシングスポーツカーの300SLを開発すると発表。超軽量ボディに直6 3.0ℓエンジンを積んだこのマシンは1952年のミレミリアで2位に入ったのに続き、ルマン24時間では1-2フィニッシュを達成し、メルセデスの復活を高らかに宣言することになった。

 この勢いをかって1954年にはW196Rと呼ばれるレーシングカーでF1に挑戦し、デビュー戦のランスGPで1-2フィニッシュを達成。1955年にはこれをベースとするレーシングスポーツの300SLRを作り上げ、F1と並行してスポーツカーレースにも挑んだ。

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