更新日: 2023.11.16 15:53
apr 2023スーパー耐久第7戦富士 レースレポート
第7戦富士スピードウェイ(4hレース)
ENEOS スーパー耐久シリーズ2023
Supported by BRIGESTONE
ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 第7戦
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開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
11月11日(予選)
天候:雨コースコンディション:ウエット観客数:9900人
11月12日(決勝)
天候:曇りコースコンディション:ドライ観客数:1万6600人
有言実行!最終戦で2勝目をマーク、ランキングも2位でシリーズ締めくくる
2023年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。4シーズン目となる『DENSO LEXUS RC F GT3』をドライブするのは、新たに加わった永井宏明選手、そして小高一斗選手と嵯峨宏紀選手だ。
第2戦の24時間以来、今年2度目の開催となる富士スピードウェイが舞台となるシリーズ最終戦は、全クラス混走の4時間レース。ポイントが通常の1.5倍となるボーナスゲームでもあるため、ポール・トゥ・ウィンを飾れば32ポイント獲得可能である。
前回の岡山国際サーキットでは、4番手からスタートを切り、一時は3番手を走行したが、ピットでの作業違反に対し、ドライビングスルーペナルティを課せられていた。表彰台まであと一歩まで挽回しシリーズチャンピオンをも狙っていたが、もはやそれまで……。
4位に甘んじたことで、チャンピオン獲得の希望は絶たれてしまった。ウエイトハンデはトップの半分でしかない30kg。最終戦で2勝目を挙げてシーズンを締めくくるべく、必勝体制で臨むこととなった。
公式予選11月11日(土)13:55~
金曜日の富士スピードウェイは、あいにくの雨模様。それでも午前の専有走行は開始から20分ほどドライコンディションが保たれたことで、小高選手によってドライセットが詰められ、1分43秒556をマーク。
その後、永井選手に交代して雨が本格的に降り出す前に、1分43秒285を記録した。土曜日からは雨の心配はないとの予報により、午後の専有走行は走行せず。
ところが、土曜日は早朝に霧に見舞われ、午前のウォームアップ開始直前に晴れたものの、路面はダンプコンディション。永井選手が3周走るに留めていた。さらにいよいよドライコンディションで走れるかと思われた午後からの予選は、直前になって小雨が降り始める。
Aドライバー予選のグループ2の頃は、まだドライタイヤでもタイムが出せたものの、その雨は徐々に強さを増してくる。永井選手はドライタイヤ装着してコースインするも、計測2周目からのアタックも1分51秒759を出すのが精いっぱい。ピットに戻ってウエットタイヤへの交換を、チームは決断する。
だが、永井選手が再びコースインしたのは、計測終了まで4分を切った微妙なタイミング。1周の計測は可能だろうが、果たしてタイヤに熱は加わるか? だが、高まったハードルをしっかり永井選手はクリアし、ギリギリのところで1分49秒451をマークしてトップに浮上する。
続いてBドライバー予選に挑んだ小高選手は、ウエットタイヤを選択。しかし、この週末、濡れた路面では走っていなかったこと、さらに内圧がマッチしていなかったことが災いしてしまう。計測1周目からアタックし、1分48秒065を出すも果敢にコースを攻め過ぎ、タイヤが音を上げてしまったのだ。
いったんクールダウンを入れて、再度アタックするもタイムダウン。7番手という不本意な結果に……。それでも永井選手が作ったマージンによって、合算タイムでは3番手につけることとなった。
この後のCドライバー予選で嵯峨選手が、ウエットコンディションでの内圧の検証を行い、1分50秒360で2番手に。『タラレバ』ではあるものの、前回のようにBドライバー予選が最後であれば、また違った展開になっていただろう。ただし、車のバランスは悪くないことが確認できたのは、何よりの成果となった。
永井宏明選手
「ドライタイヤで出ていきましたが、雨が強く降ってきて、タイムが出ない路面コンディションになったので、ウエットタイヤに換えましたが、それで1周だけギリギリ間に合って。本当にギリギリでした!」
「車をコンディションにちょうど合わせることができず、もうちょっとうまくまとめていれば、ポールポジションも狙えたので、それは残念ですが、まわりも速かったので仕方ないですね。最終戦なので、いいレースをしたいと思います」
小高一斗選手
「タイヤの内圧が、ダンプコンディションではちょっと高過ぎました。うまく合わせきれなくて1周で終わってしまったので、最後もう1周行きましたが、無理でした。今週、ウエットで全然走っていなかったので……タイヤの一番良い時の目測を見誤ったのが痛かったです。明日は晴れてくれれば自信はありますのでご期待ください」
嵯峨宏紀選手
「決勝に向けてのデータ取りというか、Aドライバー、Bドライバー予選で内圧の設定がうまくいかなかったところがあったので、その検証を含めて内圧を試しつつロング気味のテストをするような感じで走っていました。概ねバランスは悪くなくて、逆に決勝も雨だったら、いい感じかなというのが見えたので、そこは良かったですね」
金曽裕人監督
「永井選手が頑張ってくれました。それは朝も乗っていて、ウエット状態をしっかり分かってくれていたから、タイヤの1番良い状況で1周をきれいにまとめてくれました。永井選手の引き出しもまだまだあるし、最初から雨予選だったら、もっと差をつけられたと思います。お見事でした、素晴らしい。その反面、小高が今週ウエットで一回も走っておらず、ウエットのアタックの仕方を間違えました」
「我々ももう少し路面が濡れると思っていたから、内圧を少し高めにしたこともあり、さらに最初のうちにプッシュし過ぎて、タイヤの美味しいところを使えずじまい。それによって、もうこれ以上プッシュしたところで、内圧が上がり過ぎていたので、Bドライバー予選は諦めました。本当はポール獲りたかったけれど、4時間のレースですから2列目にいれば十分です。宏紀が内圧チェックしてくれて、いい仕事をしてくれましたし、最後は絶対優勝してみせます。それ以外は考えていません!」
決勝レース11月12日(日)12:30~
「今回は全クラス混走の4時間レースとして競われ、ドライバー交代を伴うピットストップは3回が義務づけ。さらにAドライバーの最低乗車時間が60分なのも、普段どおりではあるが、ひとりのドライバーが合計走行時間は、特別規則によって50%から60%に増やされていた。すなわち2時間から、さらに24分追加されたことになる。
日曜日になって、ようやくドライコンディションでの走行が可能になったが、フリー走行が設けられていなかったのは、やや不安要素を残すことに。そこで今回はスタート担当に小高選手を起用。見れば、まわりもさっそくプロドライバーを投じていた。ならば、スタート直後から激しいバトルが繰り広げられて然り。
イン側のグリッドから小高選手はラインを変えずにTGRコーナーに進み、まずは1台をパス。そのままトップにも食らいついて最終コーナーで前に出る。しばらくは2番手を背後に置いたままの『DENSO LEXUS RC F GT3』だったが、10周を過ぎたあたりから徐々に差を広げるようになり、スタートから1時間10分経過した39周目には、ほぼ20秒のリードを築いて永井選手にバトンタッチ。
この間にいったん3番手に退くも、遅れてライバルがドライバー交代を行うと、45周目からは永井選手は再びトップを走行。速くて安定の走りを見せ続ける。そして規定時間をきっちり走り抜いた76周目に嵯峨選手と交代。今回もタイヤ無交換でロスを最小限とするも、2番手に退いていたが、後続はまったく寄せつけずにいた。
残り1時間余りとなった95周目、『DENSO LEXUS RC F GT3』には再び小高選手が乗り込み、ラストスティントを任される。ここで特別規則の60%が大いに活かされる。50%のままであれば、その枠を超えてしまうからだ。ポジションは2番手のままコースに復帰するが、トップは3周後にAドライバーに交代。
その差は30秒を切っている。トップに立つのにチェッカーまでの時間をフルに要さなかったばかりか、111周目のストレートでズバリと斬ることに成功!その後も小高選手はアクセルを少しも緩めることなくコースを駆け抜け、134周を走破してチェッカーを受けた時には、実に1分6秒差の圧勝としていた。
今季2勝目をマークしたことで、シリーズランキングは2位にまで上昇。チャンピオンこそ獲得できなかったものの、気分上々のままシーズンオフを過ごせるのは間違いない!
永井宏明選手
「ありがとうございます。めちゃめちゃ嬉しいです。最終戦、優勝で終わることができたので、最高です! はい、みんなで頑張りましたし、僕も頑張りました(笑)。本当にみんなミスなく、すべてをまとめてくれたので、いい終わり方ができたと思います。来年はチャンピオン狙えそうな予感がします。今シーズン応援ありがとうございました」
小高一斗選手
「これでランキングも2位。シーズンを振り返ると、いろいろとトラブルだったり、タイヤ交換ミス等がなかったりしたら、もしかしたらチャンピオンも狙えたかもしれません。でも、そこはとりあえず、表彰台に上がるのも精いっぱいだった昨年から比べると、永井選手が僕らのチームに入ってくれ、結果にもつながって、最終戦で優勝と、チームとしていい形でシーズンを終えることができました」
「作戦的にスタートで僕が言って、最後もマックス走れる時間近くまで走り、昨日の予選に関しては僕が1周ちゃんとまとめきれず悔しい思いをしていたので、しっかりイベンジできて良かったです。応援ありがとうございました」
嵯峨宏紀選手
「1年通して最後に勝てるというのは、すごく気持ち良くシーズンオフ過ごせますし、今の31号車のパフォーマンスからすれば、取りこぼしさえなければチャンピオンが獲れたかもしれません。そう考えるとチャンピオン獲れるチームは、そういうところの強さがあったからで、今後は取りこぼしをしないようにレースしなきゃいけないと、逆に勝って改めて思いました」
「年間2勝できたのは、すごく大きいことだし、今回はチーム全員がミスなく、すごくいい集中状態でレースできましたし、自分のスティントは前回に続き無交換で厳しい状態でしたが、前回と同じシチュエーションだったので違和感なく、安全に淡々とつなぐという任務は果たせました。まだまだ走り方とかは、小高選手と比べたら違うところもあると思うので、勉強しながらオフを過ごしていけたらと思っています」
金曽裕人監督
「終わり良ければ、すべて良し、有言実行となりました!作戦も決まりまりましたし、永井選手がすごく頑張ってくれましたし、小高選手もよくやってくれました。嵯峨選手のタイヤ無交換でのつなぎも含めて、まさに作戦勝ちでした」
「ただ、車はまだチャンピオンのベンツにはまだ勝てていない部分はありますが、今のパフォーマンスとしては最高のものを出せましたね。これでオフシーズン、次の開幕まで、ずっと余韻を楽しめるのが嬉しいです。来年に期待皆さん、本当にありがとうございました!」