更新日: 2024.07.31 20:32
apr 2024スーパー耐久第3戦オートポリス レースレポート
ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE
第3戦スーパー耐久レース in オートポリス(5h×1レース)
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
7月27日(予選)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ
観客数:3500人
7月28日(決勝)
天候:晴れ一時雨 コースコンディション:ドライ
観客数:4800人
運は敵にも味方にも……。それでも3位入賞、3戦連続の表彰台!
2024年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。5シーズン目となる『DENSO LEXUS RC F GT3』をドライブするのは永井宏明選手、小高一斗選手、嵯峨宏紀選手、そして新たに加わった小山美姫選手だ。小山選手はCドライバーを担当する。シリーズ第3戦の舞台は、九州・大分県のオートポリスだ。
前回はシリーズの大一番である『富士24時間』として争われ、最も過酷とされるレースにおいてノートラブル、ノーペナルティで走り抜き、開幕戦のSUGOに続く3位を獲得した。2戦連続の表彰台獲得は誇らしくもあるが、それは最低限の目標でしかない。欲しているのは、まず1勝。そしてチャンピオンであるのは間違いない。
公式予選 7月25日(土)13:50〜
走行開始は木曜日から。走り始めのスポーツ走行2回目において、小高選手が1分51秒177でトップに浮上。出だしこそ上々ながら、そこからが苦難の連続だった。コンディションの変化も影響していようが、金曜日の専有走行1回目から、ありとあらゆるセットを試すも、タイムが短縮されず。2回目に至っては、序盤に雨にも見舞われてしまう。
土曜日午前のフリー走行が、予選に向けた最後の調整機会となったものの、やはり短縮ならず。ライバルは更新できているのだから、コンディションのせいとは言い難い。そこで予選に向けては、さらに大胆な変更を行うことに。Aドライバー予選に臨んだ永井選手は、計測1周目に1分53秒889、次の周には1分52秒871を記して、レースウイークの自己ベストを更新するも、3番手に甘んじていた。
Bドライバー予選でもセットを改めて小高選手をコースに送り出し、ワンアタックを決めてくれたものの、1分50秒141はトップの1秒以上の遅れでの4番手に……。合算タイムにおいて4番手となった。
この後のCドライバー予選では小山選手が、Dドライバー予選では嵯峨選手が、それぞれ決勝レースに向けてユーズドタイヤでロングランを敢行。ともに安定のタイム刻みではあったが、小山選手のタイムは1分55秒323、嵯峨選手は1分55秒550だった。
永井宏明選手
「ちょっと残念な結果でした。アンダーステアだったので、もう少しコントロールしやすく、もう少し曲がるようにする調整が足りなかったかと思います。決勝に向けては安定してラップを刻んで、ゴールでは前の方に行けるように頑張りたいと思います」
小高一斗選手
「クルマのセットを予選前に大きく変えましたが、完全に詰めきれていない感じで終わってしまいました。今週ずっと厳しいのは分かっていたので、『何かないかな』と変えてみたんですけれど。このままだと決勝も厳しいでしょうから、なんとも言えないですけど、ミスなく行くしかないですね。でも、いつもと違う方向で予選を見られたので、今後それがいい方向に行ってくれたらな、という感じです」
小山美姫選手
「晴れの状態で初日に4ラップと昨日11ラップ、後は雨の中だけ走っていたので、やっとオートポリスをちゃんと走った感じですけど、チームとしては決勝のロングのペースを整えていきたいよねって。しかし、ロングもタレないだけで速くないし、一発もないし、さぁ、どうしようかっていう感じで。いっそ雨の方がチャンスあったと思いますが、得意の最高速も一番遅いし、まわりが速過ぎますよね。決勝は速さでは上に行けないと思うので、戦略だったり、あとは混走をうまく使ったりして、人の不幸は願わないので(苦笑)、自分たちの巡り合わせがいいことを祈ります」
嵯峨宏紀選手
「予選の順位が芳しくなかったので、決勝に向けていいものを見つけたかったんですが、まだ今ひとつ厳しいかなと。RC Fそのものが、このコースに合っていないようなので、なんとかジタバタしたかったんですが……。もうちょっとなんとかしたいと思っていますが、今のところ厳しいですね」
金曽裕人監督
「夏場で、しかも高地で空気が薄いのでエンジン的にも、ダウンフォース的にも、ストロングポイントが使えないというので、予選を非常に苦労していたのは確かです。セットアップをいろいろ変えてはいますが、まだその先に進めていません。なので、決勝前の15分(のウォームアップ)までいろいろやっていきます。ただ、クルマをタレさせない方向でどんどん進めていっているので、トータルでうまいこといくようにやっているから、予選に関してはこんなもの。もうちょっと行けたら良かったんですけどね。決勝にご期待ください」
決勝レース 7月28日(日)11:00〜
今回はグループ分けなく競われる5時間レース。ドライバー交代を伴うピットストップの義務づけは3回で、Aドライバーは75分以上走らなくてはならない。決勝レースに先駆け、15分のフリー走行が実施され、スタートを担当する永井選手が全周回を走行。ラストの1分56秒099を筆頭に、コンスタントに周回を重ねてくれたのは、ひとつの希望材料となっていた。
予定どおり11時にフォーメイションラップが開始され、グリーンシグナルの点灯と同時に、永井選手はアクセルを踏み込んでいく。4番手からの発進となったDENSO LEXUS RC F GT3だが、前からは遅れずに周回を重ね、その車両が接触によってペースを乱したところを永井選手は逃さず捕らえ、21周目には3番手に浮上する。
視界が開けてからの永井選手は、後ろを徐々に引き離しにかかるも、スタートから1時間を間もなく経過しようというタイミングで、1コーナーでアクシデントが発生。そのため、セーフティカー(SC)が導入されてしまう。スーパー耐久ではSC導入時のピットインが認められているから、先頭を行く2台は迷わずドライバー交代を行ったのに対し、DENSO LEXUS RC F GT3はAドライバーが乗車しているから、すぐには入れない。SCランはどこまで続くのか。
1時間18分経過した37周目、ここでようやく永井選手はピットに入ってくる。それから間もなくSCランは終了。嵯峨選手をポジション通りの3番手で送り出した。ところが、SC明けスタートの1コーナーであっさり抜かれ4番手に後退。不意を突かれポジションを落とした嵯峨選手は激しい3番手争いを繰り広げ、しきりにプレッシャーをかけ続けるも、車両特性の違い、そして巧みなブロックによって行く手を阻まれ、なかなか前に出ることができない。そこでアンダーカットを狙うべく、作戦をショートに変更。2時間22分経過した68周目、小山選手への交代を早めることとした。
しかし、ポジションはそのまま。小山選手も安定のペース刻みでチャンスを待つも、思うように差は縮まらず。108周目、ラスト1時間20分を小高選手に託すこととなる。それでもポジションは4番手。もはや淡々と走り続けるしかないのか……と思われた矢先に、2番手を走る車両に対し、1周減算のペナルティがアナウンスされる。ピットで押しがけによるエンジン始動があったからだ。
やがて、その車両はトップに躍り出るのだが、DENSO LEXUS RC F GT3にとっては表彰台獲得のチャンスが訪れたことにもなる。ただし、周回遅れになることだけは禁物だ。そこで小高選手はプッシュを開始。一時は1分以上にも及んだ先行車両との差を、40秒を切るまでとしたのは、まさに意地のなせる賜物だろう。
DENSO LEXUS RC F GT3は3位を獲得し、3戦連続で表彰台に立つことになった。厳しい戦いを強いられたからこそ、この順位を得られたのはシーズンが終わった時に重要な意味を持つのではないか。
次回のレースは9月7日(土)に、モビリティリゾートもてぎで開催される。初の試みである、予選・決勝の1デイ開催となる5時間レースは、昨年優勝を飾って相性も悪くない。2年連続の優勝をご期待いただきたい。
永井宏明選手
「バランスはそこまで悪くないのに決勝もペースがあまり良くなかったんですが、表彰台に上がれたので、3位で良かったです。決勝に向けての改善はうまいこといったので、今のペースができていたんですが、それでも届かなくて。全体のまわりのペースと比べたら、全然追いつけなかったので、本当に耐えながら5時間戦った感じです。次のもてぎでは、もっと上のポジション狙って走りたいと思います」
小高一斗選手
「実際は4位ですけど、ラッキーで表彰台に登れたので良かったです。オートポリスはどうしてもRCFは苦手なところもあり、クルマとして予選よりは決勝のバランスは多少良くはなったと思いますけど、まだまだトップグループとは差がありました。特にタイヤがなくなってきた時に、コントロールがシビアだったですね。次のもてぎは去年勝っているし、同じような時期ですから、次は勝てるように頑張ります」
小山美姫選手
「運が良かったです。自分は想定よりも長く行くことになっていたので、安定して揃えていくことを心がけましたが、もうちょっと速いペースで走りたかったです。混走の中でのかき分けを、もうちょっとうまくできたらという反省もありますし。もうちょっとドライバーとして、上げていきたいという部分はありますが、ベストは尽くせて、あとは運もありました。ちょっとずつ自分も慣れてきているので、次はもっと貢献できるかなと思います」
嵯峨宏紀選手
「ペース的には厳しく、1台ぐらい何かあって、表彰台に上がれたらいいなと思っていたんですが、予想した形になったというか。今回はクルマと気温と、いろいろなものの相性が悪くて、致命的に苦しい戦いになりましたが、展開に助けられて結果オーライじゃないですけど、結果良かったので、ちょっとホッとしています」
金曽裕人監督
「とりあえず3位表彰台で良かったです。クルマのパフォーマンスとして想定よりはバランスも良くタイヤのタレも少なく安定はしていましたが敵陣のペースにはついていけませんでした。コンディションがもう少し涼しければ、ストロングポイントのエンジンパワーも元気になり自力でも表彰台は狙えたかと思います。セカンドスティントで3位をキープできず、その後30周以上つき合わされたのが、最終的に大きく響いたのは事実です」
「永井選手と小高選手に関しては、いい仕事をしてくれました。そこをうまく組み合わせていけば、まだまだ上は見えます。美姫選手は、ある程度ハイペースで走ってくれましたが、突然ロングに切り替えてしまったので少しタイヤセーブに徹し過ぎた感もあります。タイヤの残量からも、あとコンマ5秒は速くは走れる実力はありました」
「あと、SCのタイミングも、永井選手の時は運がなかった。それも全てタラレバの話であって、クルマの速さとドライビングで言うと、まだ課題は残っています。もっと総合力を上げ、昨年初優勝のモテギでリベンジします」