勝利を目前にしてまさかのペナルティ
3位表彰台も痛恨のレースに

ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE
第5戦 スーパー耐久レース in オートポリス

2025年7月26日(土)〜7月27日(日) オートポリス(大分県)
入場者数:7月26日:3,500人 7月27日4,800人

■PRACTICE スポーツ走行/STMO専有走行

7月23日(水)〜25日(金)
天候:晴れ 路面:ドライ

 惜しくも勝利には届かず2位で終わった第4戦SUGOから3週間。スーパー耐久シリーズは第5戦を迎えた。舞台は大分県のオートポリスで、今回は参加8クラスすべてが混走する5時間レースとなる。

 第4戦の結果でランキング首位に浮上したTKRIは、この第5戦に向け特別スポーツ走行よりも一日早い7月23日(水)からDAISUKE、中山友貴、奥本隼士の3名がサーキット入りし、走行を開始。片岡龍也が7月24日(木)から合流した。

 ただ、24日の特別スポーツ走行からコンディションも変化したことから、DAISUKEの走行時間を削ってでも片岡を中心に、レースでも走りやすいセットアップづくりを目指して作業を進めていった。しかし車両の空力パーツの立て付けの問題等でバランスが崩れているなど作業は難航した。

 この週末は日中で日射しが強い時間帯こそ暑さが厳しい状況だったが、7月25日(金)は風が吹くと涼しさを感じるコンディション。専有走行1回目は片岡とDAISUKE、2回目は4人のドライバーが交代しながら周回を重ね、前日解決しきれなかったセットアップを進めていった。

 金曜の2回の専有走行を終え、結果的には「良いものが見つかりました」と片岡は満足げな表情を浮かべた。ただライバルたちも速く、決勝に向けては決して楽観視できる状況ではないことを感じさせた。

■QUALIFY 公式予選

7月26日(土)
天候:晴れ 路面:ドライ

 3日間の走行を終え、迎えた7月26日(土)は午前に30分間のフリー走行が行われた後、午後1時15分から公式予選がスタートした。まずAドライバー予選に臨んだのはDAISUKEだったが、1分53秒624で4番手。「専有走行で詰め切れず、あと少し行ききれませんでしたね」とDAISUKEは悔しい表情を浮かべた。

「自身の引き出しの少なさが影響しましたね。ただレースでは実戦を通じて引き出しを増やしていきたいです」とDAISUKE。

 続くBドライバー予選では、片岡が1分49秒505を記録し、僅差の2番手に。合算では4番手につける予選結果となった。

 ただやはり、重要なのは決勝。特に今回は5時間と距離が長い。前日まで作り上げたセットアップを最後は奥本と中山で仕上げ、公式予選を終えることになった。

TKRI 2025スーパー耐久第5戦オートポリス レースレポート
2025スーパー耐久第5戦オートポリス TKRI松永建設AMG GT3

■RACE 決勝レース

7月27日(日)
天候:晴れ 路面:ドライ

 迎えた7月27日(日)の決勝日。週末を通じて風が強かったオートポリスだが、この日もやや風があり、青空こそ見えているものの、上空からは細かい雨が舞う難しいコンディションのなか、午前11時から決勝レースを迎えた。TKRI 松永建設AMG GT3のスタートドライバーはDAISUKEが務めた。

 今回4台が参戦しているST-Xクラスで、DAISUKEは唯一のAドライバーのスタート担当となったが、序盤プロが駆る3台がリードを広げていくなか、DAISUKEは着実なペースで走行を続けていく。この第5戦はST-Xに次ぐ速さのクラスは、大きくポテンシャルが異なるST-TCRクラスで、DAISUKEは単独で自分なりのペースで課題でもあるラップダウンの処理を進めつつ、序盤のレースを戦うことができていた。このスティントでの課題は、いかにトップ3からは離されずにラップを重ねていくかだ。

 DAISUKEはスタートから1時間20分、38周を終えピットインし、その大役を果たすと片岡にステアリングを託した。しっかりと上位3台から周回遅れにならずにファーストスティントをこなしたことで、この後のレースに繋がっていくことになった。

 開始から2時間前にはふたたび雨がパラつくなど、オートポリスは不安定な天候が続いていたが、それでも快調に追い上げていった片岡は、開始から2時間15分を過ぎるあたりで、ついにAドライバーが乗り込んでいた3番手の#101 アウディを射程に捉え始めた。

 片岡は68周目、メインストレートで#101 アウディをオーバーテイクしついに3番手まで浮上。さらに71周目、一気に#777 アストンマーティンに追いつくとこれをオーバーテイク。2番手に浮上してみせた。

 一方、プロふたりが繋いできたトップの#31 RC Fは、片岡が2番手に浮上するタイミングでピットイン。ややタイヤ交換に時間を要したが、TKRI 松永建設AMG GT3の前でピットアウトしてきた。

 トップには立てなかったものの、片岡は39周のスティントで大きなジャンプアップを果たすとピットイン。第3スティントを中山に託したが、交代直後ST-TCR車両のクラッシュが発生し、フルコースイエローからセーフティカーランへと変更されることになり、これがTKRIの展開に味方することになった。

 再開後、中山はトップを走る#31 RC Fとのギャップを縮めていくと、94周目についにオーバーテイク。トップに浮上することになった。レース終盤、中山は30周の自らのスティントをこなすと、奥本に交代した。

 2番手から奥本を追ってきたのは#31 RC Fだが、奥本は着実に走行を続け、30秒を超えるリードを築いていった。ファイナルラップも近づき、優勝は目前だった。

 しかし残り3分というタイミングで、ST-5Rクラスの首位だった#88 ロードスターをオーバーテイクしようとした際に奥本はまさかの接触を喫してしまった。首位で戻ることはできたが、#88 ロードスターはレースを失うことに。TKRI松永建設AMG GT3は接触で30秒加算のペナルティが課された。

 チェッカーは受けたが、結果は3位。表彰台獲得こそ成ったものの、 今シーズン2勝目を目前にしてのペナルティに、チームは唖然とした表情を浮かべざるを得なかった。何より、奥本は自らのミスに言葉を詰まらせた。

 レースの借りはレースで返すしかない。TKRIはもっと強く成長するべく、次戦岡山でふたたび勝利を目指していく。

TKRI 2025スーパー耐久第5戦オートポリス レースレポート
2025スーパー耐久第5戦オートポリス TKRI松永建設AMG GT3のドライバーたち

■DRIVERS / DIRECTOR VOICE ドライバー&監督コメント

DAISUKE
これもレースですかね。ただ今回は、本当にいろんなことを学んだレースになりました。セッティングの仕方や、片岡さんの予選に向けた走り方の変え方など、さすがプロだというところをまざまざと見せてくれました。もちろんこれに結果がついてくればありがたい話ですけど、勝つプロセスを学ばせていただきましたし、そこまで行くことができるチームだということも自負できました。この3位という結果を前向きにとらえ、残り2戦チャンピオン目指して取り組んでいきたいです。

片岡 龍也 TATSUYA KATAOKA
レースはいろいろありますね。今年、奥本選手を育成する気持ちで乗せているので、こういうことも起きるとは思いますが、前戦に続き2回連続になってしまいました。本人はかなり悔しいでしょうけどね。チーム代表という立場で言うと、育成も大事ですが、勝負とのバランスが難しいな、と感じました。育成という目的が結果的に不利になってしまったことが残念ですね。ただ、この気持ちを本人がちゃんと活かしてくれれば良いと思っています。次戦も頑張ります。

奥本 隼士 SYUNJI OKUMOTO
自分のミスでレースを台無しにしてしまいました。反省しています。前戦に続きチェッカードライバーを任せてもらいましたが、どういう状況でもチェッカーを受けなければいけないのに、前回は抜かされ、今回は他車と接触してしまいました。88号車の皆さんにもご迷惑をおかけしてしまいましたし、みんながトップで繋いでくださった中でマージンをとって走れば良かったのに、ミスをしてしまいました。ポイントも失ってしまいましたし、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいです。

中山 友貴 YUHKI NAKAYAMA
残り2周ほどまで優勝が見えるレースでしたからね。自分たちもトップを走っていてペナルティを受けての3位でしたし、相手の88号車もトップだったわけで、自分たちも嫌な思いをしましたし、相手のレースも台無しにしてしまったことは申し訳なく思います。このレースは車速が違うクルマが走るので、気を引き締めなければと思いました。起きた結果は返ってこないので、残りのレースを強く戦いたいと思います。本人も悔しいと思いますが、反省して前に進まなければと思います。

河野 高男 監督 TAKAO KOHNO
セーフティカーの展開で自分たちにすごく有利な展開になりましたが、あってはならないことがあってしまいました。もちろん本人がいちばん分かっていると思うので、今後に繋げて欲しいと思います。こんなレースも時にはありますからね。今季はドライバー含めまとまってきましたし、良い戦いを続けることができています。今回は残念ですが、前向きにとらえるしかないですね。残りの2戦、取りこぼしなく戦って、チャンピオンを目指していきたいと思っています。

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