その言葉にもあるとおり、笹原の前に第6戦で並ぶことになったのは大湯と宮田。そして、脇には角田と、激しいバトルが繰り広げられるであろう、お膳立てはふたたび整えられていた。何しろ聞きしに勝る、抜きにくいコースであるだけに、第5戦の笹原同様、ポールシッターの大湯が第6戦で圧倒的に有利なのは間違いなかったが、ひとつ不安材料を挙げるとすれば、前述のトラブルで少なからずタイヤを傷めていたであろうこと。その影響がどれほどか、ということ。
まず第6戦のスタートで、角田がリベンジを果たす。好スタートを決めて笹原の前に。さらに宮田にも迫らんばかりの勢いを見せたが、それは鉄壁のガードで逆転を拒まれる。その激しい攻防の間に、大湯はオープニングラップのうちに1秒3ものリードを作り、宮田、角田、笹原を寄せつけず。
このリードが、それほど広がっていかなかったのはタイヤのダメージが大きかったからではなく、しっかり温存していたため。
「宮田くんの序盤のペースは良くないのは分かっていたので、終盤に備えていました」と後に大湯は語る。宮田とはしばらくの間、等間隔を保っていたのが、その何よりもの証明だ。
そんな大湯の予想どおり、ラスト2周に宮田は急接近。そして最終ラップの1コーナーで宮田は猛攻を見せるも、しっかり大湯はガードを固めていく。逆にターン3で宮田は痛恨のコースアウトを喫し、復帰は果たしたものの、その間に角田と笹原の先行を許していた。
痛恨ではあったが、レース後の宮田の表情も晴れやかだった。「守るだけのレースをするドライバーじゃない、というのを周囲にわかってもらえたと思います。あのまま第5戦と同じようなレースしていても、そんなに意味はないので」と胸を張って宮田は答えていた。
そして、激戦の末に今季初優勝を飾った大湯にもまた、その表情には笑顔があふれていた。
「これまでずっと流れが悪かったので、本当にやっと勝てたという感じで。今日に関してはタイヤが厳しいなか、序盤はしっかりセーブしていました」と大湯。
「宮田くんの序盤のペースが良くないのはわかっていたし、終盤に追いつかれるのも予想していました。でも、思っていたよりきたのが遅かったことで、宮田くんもちょっと焦ってコースアウトしたんじゃないでしょうか」
「正直、いままでプレッシャーもありました。チームメイトのふたりに先に勝たれたり、岡山では流れに乗れなかったり、富士では最善を尽くしてもなお、勝てなかったり。昨日もトラブルがありましたから……。でも、もう大丈夫。ここから勝ち続けて、チャンピオンを獲ります!」
なお、参戦3年目のドライバーで最上位は第5戦が河野で5位、篠原が続いて6位に。第6戦では平木の6位、石坂が7位だった。彼らにも、そろそろ会心の一発を期待したいものである。
2017年のFIA-F4選手権、第7・8戦は7月22~23日にスポーツランドSUGOで行われる。
