10月23日から、岡山県の岡山国際サーキットでENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第6戦『スーパー耐久レースin岡山』の特別スポーツ走行がスタートしたが、このラウンドで大きな注目を集めているST-QクラスのTGRR GR Yaris M conceptが公に姿を現した。通常の
GRヤリスとはまったく異なる外観をもち、1月に東京オートサロンで発表された姿からも変貌を遂げている。
2025年からチーム名も新たに、『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』をテーマにニュルブルクリンク、さらにスーパー耐久への参戦を通じてさまざまな活動を行っているTOYOTA GAZOO ROOKIE Racing。カーボンニュートラル燃料の使用や水素エンジンの投入、DAT(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)のレースへの投入、ロボットで作られたロールケージの採用などその野心的な挑戦は枚挙に暇がないが、今シーズン最大の注目とも言えるチャレンジが第6戦岡山でスタートした。
今回『TGRR GR Yaris M concept』として投入されたのは、リヤミッドにエンジンが搭載されたGRヤリス Mコンセプトだ。1月の東京オートサロンでは開発中の直列4気筒2リッターターボのG20Eエンジンを搭載し、さらにミッドシップ四駆化するという意欲的な概要が発表されていた。
本来であれば、7月の第5戦オートポリスで登場予定だったが、「止まる、曲がる、走る、それぞれにミッドシップならではの難しさがあり、よりよいクルマに仕上げるために今回の出場を見送ることとなりました」という理由で第5戦は参戦を見送っていた。満を持して登場したのがこの第6戦岡山だ。
一見すると、これまでもTG-RRカラーで登場したGRヤリスとカラーリングで大きな違いはないが、フロント各部の開口部、さらにリヤにはダクトもついた拡幅された前後フェンダーと大きな違いがある。さらにフロントには大型のファンが設けられているほか、リヤハッチを開けると東京オートサロンでの発表時とは大きく異なるレイアウトが目を引いた。またエキゾーストノートもST-2クラスのGRヤリスとは異なっており、新エンジンのパワーを感じさせる。
そして何よりの驚きがそのタイム。これまで開発が続けられてきた車両とはいえ、この日の特別スポーツ走行では走り出しから佐々木雅弘のドライブで1分39秒427を記録。2回目の走行でも1分39秒003を記録し、グループ2の最速に。ST-2クラスよりも1秒前後速いタイムをマークしている。
「まだそこまで煮詰まっているわけでもないのですが、速いですね(笑)」というのは32号車TGRR GR Yaris M conceptの石浦宏明ドライバー兼監督。「細かいセンサーのエラーがあったりしましたが、順調な初日になりました。オートポリスはスキップすることになりましたが、開発テストでロングランも走り込むなど、佐々木選手中心に開発してきましたし、モリゾウ選手も自分もドライブしています」という。
興味深いのは、四駆ではあるものの「今までの四駆とはかなり雰囲気が違います。アンダーステアがありません」というもの。またミッドシップながらも開発初期こそピーキーさがあったものの、「小倉康宏選手も今回初めて乗ったのですが『乗りやすい。楽しい』と言ってくださいました」とジェントルマンドライバーでも乗りやすいように仕上げられているという。
もちろん、第5戦オートポリスに出場できなかったように開発には大きな労力がかけられているが、「やっと皆さんの前でお披露目できましたし、このクルマが育っていく過程をぜひファンの皆さんにも観ていただきたいですね」と石浦監督は語った。この週末のグループ2の注目車両なのは間違いないだろう。








