不安定なコンディションを戦い抜き連勝!
ランキング首位に迫り最終戦へ
ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE
第6戦 スーパー耐久レース in 岡山
2025年10月25日(土)〜10月26日(日) 岡山国際サーキット(岡山県)
入場者数:10月25日:3,000人 10月26日5,500人
■PRACTICE スポーツ走行/STMO専有走行
10月23日(木)〜24日(金)
天候:晴れ 路面:ドライ
第5戦オートポリスでは嬉しい逆転勝利を飾り、シリーズランキングでも2位につけたKTMS。そこからシリーズは約3ヶ月のインターバルがあき、いよいよ終盤戦となる第6戦を迎えた。舞台は岡山国際サーキット。コース長が短いがテクニカルなコースだ。
そんな岡山だが、今回もAドライバーの富下李央菜にとっては初体験となるコース。晴天に恵まれた10月23日(木)の特別スポーツ走行ではまず1回目を富下、そして鈴木斗輝哉が交代して周回し、2回目は鈴木からコースイン。すでに岡山では豊富な経験をもっている平良響、富下と交代しながら周回。特別スポーツ走行の2回のセッションを活用しながら習熟を重ねていった。
明けて10月24日(金)は1時間20分ずつの専有走行が2回行われたが、ここでも3人のドライバーが交代しながら周回。午後に1分40秒841というタイムを記録し、ST-2クラスの2番手につけることができた。
「少しずつですが岡山にも慣れることができていますが、レースではバトルになるので、そこはまだ不安がありますね」と富下は走行を振り返った。一方、鈴木は「今のところ良いペースで走ることができています」とその手ごたえを語った。
この手ごたえは平良も同様で、3時間というレースを見据え、いかにタイヤをきっちりと保たせ、高いペースを維持するかに取り組んでいくことになった。
■QUALIFY 公式予選
10月25日(土)
天候:曇り 路面:ドライ
迎えた10月25日(土)の予選日は、午前のフリー走行の段階で雨が舞ったが、午後1時40分からの公式予選は曇り空のもとドライコンディションで迎えた。まずAドライバー予選に出走した富下は、1分41秒083を記録。クラス6番手につける。Bドライバー予選も鈴木が1分40秒384を記録するも、こちらも6番手。やはり予選での一発のタイムはライバルたちに速さがある状況だった。
Cドライバー予選では、少しずつ雨が降り出すなか平良が決勝レースを見据えつつ、1分41秒206を記録し公式予選を終えることになったが、大事なのは決勝レース。特にランキング首位である#72 CIVIC TYPE-Rの動向も気になるところ。
しかも翌日の決勝までの間に雨が残る天気予報も出ていた。チームはあらゆる可能性を検討しつつ、レースへの戦略を練っていった。
■RACE 決勝レース
10月26日(日)
天候:雨〜曇り 路面:ウエット
迎えた10月26日(日)の決勝日は、午前8時30分からグループ2の決勝レースがスタートした。事前の天気予報どおり、前夜からサーキットには雨が降っており、路面はウエット。ただその後雨は止みコンディションが変化していくことが予想されていた。
そんなコンディションに合わせ、KTMS GR YARISはスタートドライバーに経験豊富な平良を据えた。グリッドでも雨が降ったり止んだりと不安定なコンディションとなったことから、レースはセーフティカースタートとなったが、3周目にレースはスタート。ウエットのなか、ST-3クラスの集団も交えつつまずは5番手にポジションアップ。前を追いながらレースを進めていった。8周目には#743 CIVIC TYPE-Rをオーバーテイクすると4番手に。タイトル争いのライバルである#72 CIVIC TYPE-Rを激しく追いつめていった。9周目にはこれをオーバーテイクすると、上位を走る2台のランサーとのギャップを縮め、スタートから1時間2分が経過した31周目、ついにクラストップに浮上してみせた。
その間にも少しずつ路面の水量は減り続けることになったが、平良はスリックタイヤで走ることができるタイミングまでピットインを遅らせるものの、なかなか思うように路面が乾かない。スタートから1時間30分が過ぎるころには青空も見えはじめたが、ようやく平良は45周を終えピットイン。ここでスリックを装着し、富下を送り出した。
晴れ間は見えるもののまだ雨がわずかに舞う難しいコンディションで、富下は慎重に、かつ着実にペースを上げていった。2番手につけることになった#72 CIVIC TYPE-Rの方がわずかにペースが速かったが、序盤の平良の頑張りもあり、40秒以上のリードがあった。そのリードを頼りに富下は規定の60分の走行時間を進めていくことになった。
富下はしっかりと自ら課せられたスティントをこなしていくと、3時間レースのうち残り30分を切りピットイン。鈴木に最終スティントを託した。2番手に浮上したのはドライタイヤでスタートから走り続けていた#95 CIVIC TYPE-Rだったが、鈴木はアウトラップ後いきなりセクターベストを更新する走りをみせると、そのギャップを広げた。
ただ終盤、鈴木の前にグループ2の総合首位だったST-Qクラスの#32 GR Yaris M Conceptが入った。鈴木は僅差で戦いながら、ファイナルラップ直前で進路を譲ってもらい、1.208秒差でフィニッシュ。第5戦オートポリスに続く連勝を飾るとともに、嬉しいグループ2の総合優勝を飾ってみせた。
この勝利、そしてランキング首位だった#72 CIVIC TYPE-Rが4位となったことで、ポイント差を縮めて最終戦の富士を迎えることになった。
チャンピオンを獲得することができるのか、それとも……。富士はCIVIC TYPE-Rが速く、決してKTMS GR YARISにとって得意なコースではないが、チャンピオンを目指してKTMSは全力を尽くしていく。
■DRIVERS & ENGINEER VOICE ドライバー&エンジニアコメント
富下 李央菜 RIONA TOMISHITA
連勝することができて良かったです。今週は初めての岡山国際サーキットでしたが、とても楽しいサーキットです。ひとりで走る分には今まででいちばん楽しいコースだったかもしれません。ただ天気予報も刻々と変わっていっていたので、『雨でスリックを履くのはイヤだな』と思っていましたが、結局履くことになって(苦笑)。なんとか抜かれず走れて良かったです。次の富士はコース特性も違うのでどうなるか分かりませんが、3連勝できるように最善を尽くしたいと思います。
鈴木 斗輝哉 TOKIYA SUZUKI
今回はすごくコンディションが難しいレースとなりましたが、そんななか問題なく3人が走り切り、ペナルティもなく完走できたことが何より良かったと思っています。最終スティントは短かったですが、すごくプレッシャーがかかる展開でした。でもクルマが違うとはいえMORIZO選手と一緒にレースができ、とても良い経験をすることができたと思います。結果的に総合優勝もできてとても良いレースでしたし、チャンピオン争いも近づいたので、素晴らしいレースウイークでした。
平良 響 HIBIKI TAIRA
スタート直前にスリックを履いているライバルもいると聞いたので悩みましたが、ウエットタイヤを履いたのが正解でしたね。その後は路面が乾くのをしっかりと待って、タイヤを壊さずなるべく速いペースで走るができたので良かったですね。富下選手、鈴木選手がしっかりと繋いでくれて、2連勝を飾ることができました。これでポイント差も縮めることができましたが、最終戦の富士はライバルに分があります。ただ長いレースですし、僕たちにもチャンスがあると思っています。
上田 昌宏 MASAHIRO UEDA 神戸トヨペットエンジニア
結果的に優勝を飾ることができて良かったです。ただ終盤#95 CIVIC TYPE-Rに予想以上に詰められてしまいました。第2スティントの富下選手のペースをもう少し上げられれば良かったかもしれませんが、難しいコンディションでしたしね。しっかり繋いでくれたので良かったです。今回連勝を飾ることができて、チャンピオン争いも点差を詰められました。次戦はウエイトも半分になるので、戦略の幅も広がると思っていますので、その点も意識しつつ戦っていきたいと思います。



