MORIZO Challenge Cup第8戦
第52回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2025 supported by カヤバ

荒れた路面を制した最上がMCC初勝利。最終日ベスト連発の兼松は2位に

 10月17日(金)から19日(日)にかけて、2025年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第8戦『第52回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2025 supported by カヤバ』が、岐阜県高山市を拠点に開催され、JN-2クラス内の若手育成カテゴリー『MORIZO Challenge Cup(MCC)』において、FIT-EASY Racingから参戦する最上佳樹選手/小藤桂一選手が初優勝を飾りました。

 MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に2024年から導入された、全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリーです。今シーズンもJN-2クラスの車両規定をベースとした『トヨタGRヤリス』によって争われます。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで28歳以下)のドライバーが対象。MCC独自のポイントが付与され、1位~3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。2025年は、開幕から6連勝を飾ったTOYOTA GAZOO Racing-WRJ(TGR-WRJ)の大竹直生選手がチャンピオンに、兼松由奈選手が最優秀女性ドライバー賞のチャンピオンを手にしています。大竹選手は12月にフィンランドで行われる、TGR WRCチャレンジプログラム第5期生の最終選考に参加する予定です。

 最終戦の舞台となる高山のスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)は、中高速からツイスティなセクションまで、バラエティに富んだコース構成が特徴です。SS内には標高1000mを超える場所もあり、天候が変わりやすいことも特徴のひとつ。落ち葉なども点在し、レッキ(コース試走)において精度の高いペースノートの作成が要求されます。

 今大会には、大竹直生選手、最上佳樹選手、米林慶晃選手、平川真子選手、兼松由奈選手、田部井翔大選手、服部紡久選手、及川紗利亜選手、伊藤はづき選手が出走。すでに大竹選手のタイトルが確定したため、それぞれのクルーが持てるスピードを競う展開が予想されました。

モリゾウチャレンジカップ 2025年JRC第8戦高山 ラリーレポート
最終戦まで切磋琢磨し成長を見せた選手たち。2025年のMCCを大いに盛り上げた

 18日(土)朝、高山市役所においてセレモニアルスタートが行われ、2日間のラリーが幕を開けました。初日のコンディションはドライ、ただ、前日までに降った雨が一部に残っている状況です。幸先良くSS1を制した大竹選手でしたが、続くSS2でマシンを滑らせて右リヤをヒット。これによりタイヤをパンクしてしまい、大きく遅れることになりました。SS2でSSトップタイムをマークした最上選手が、米林選手に19.5秒差をつけて首位に浮上。最上選手はSS3、SS5、SS6でもSSトップタイムをたたき出し、米林選手との差を43.4秒に拡大して初日を終えました。

 高山初挑戦の米林選手は、路面コンディションを慎重に確認しながら走行を続け、MCC2番手をキープ。一時6番手に後退していた大竹選手はSS4でトップタイムを獲り挽回、SS5で3番手まで順位を戻しています。以下、4番手に田部井選手、5番手に平川選手、6番手に兼松選手というオーダーで続いています。

 前日の午後から降り出した雨により、最終日は非常に滑りやすいコンディションになりました。首位の最上選手は、初日に作ったアドバンテージを活かし、危険な箇所を回避。SS2から一度も首位を譲ることなく、待望のMCC初勝利を手にしました。この日、素晴らしいスピードを披露したのが兼松選手。初日に不調をきたしたパーツを交換し、SS9以外の全ステージでトップタイムを並べます。兼松選手はMCC6番手から一気に2番手まで順位を上げ、自身MCC最上位となる2位表彰台を獲得しました。

 一時MCC2番手を走行した大竹選手は3位でフィニッシュ。初日2番手につけていた米林選手はSS7でバンクにヒット、足まわりにダメージを負いながらもラリーを続行し、4位で走り切っています。

モリゾウチャレンジカップ 2025年JRC第8戦高山 ラリーレポート
最終日に目覚ましい速さを見せた兼松由奈/山下秀。キャリア最上位となるMCC2位を獲得した

■2025全日本ラリー選手権第8戦高山
MORIZO Challenge Cup最終結果

Pos.Driver&Co-DriverCarTime/Gap
1最上佳樹/小藤桂一FIT-EASYZEALGRYARIS1h11’11.4
2兼松由奈/山下秀ロッソモデロ 大東建託 GRヤリスDAT+1’04.4
3大竹直生/橋本美咲GR YARIS GR4 RALLY+1’09.5
4米林慶晃/木村悟士KTMS GRヤリス+1’38.4
5平川真子/冨本諒GRYARIS GR4RALLY DAT+1’49.9
6田部井翔大/藤田めぐみCUSCO WM DL GR YARIS+2’56.8
7及川沙利亜/安藤裕一DL WPMS GRヤリスDAT+6’19.6
8伊藤はづき/槻島ももCUSCO WM DL GR YARIS+11’45.0
9服部紡久/春日美知子MATEX-AQTEC KYBGRヤリス+52’50.0

■最上佳樹(MCC1位/最多SSトップタイム賞)
「今回の高山では、タイムと強さと順位を残すことができました。最終日はタイム差があったので、とにかく持っているマージンを使い、安全に帰ってくることを心がけました。素晴らしい結果でシーズンを終えられて、本当に良かったです。今シーズンは、クラッシュやタイムが出なかったことがあり、順位や結果が思うように残せず悔しい思いをしてきました。それでも、モントレー以降は良いペースで走れるようになりました。1年を通じて、実力の底上げができたと実感しています」

■兼松由奈(MCC2位/最多SSトップタイム賞/最優秀女性ドライバー賞)
「2位は自己最高位です。最終日に向けてパーツを交換し、滑りやすい路面を想定してセッティングを大きく変えたことが、ピッタリはまりました。走行中もグリップを感じながらドライブできたので、様々な要素が噛み合ったうえでの2位表彰台です。ただ、今日の走りを振り返ると、初日がもったいなくも感じています。今回は『勝ちたい』と強く思って挑みました。今シーズン悩み続けてきたことが、今回のラリーですべてクリアになりました。より良いタイムで走れる自信がついた一戦になりました」

■大竹直生(MCC3位)
「今回も厳しい一戦になりました。久万高原から様々なトライを続けてきて、最後に『この方向なら良くなる』と感じることができました。まだベストな状態ではありませんが、少し光が見えてきたので、終わり方としては悪くはなかったと思います。本当は2位で終わりたかったのですが、兼松選手のスピードが素晴らしかったです。苦しいなかでも、しっかり走り切れたことは、自分にとって大きな収穫になりました」

■米林慶晃(MCC4位)
「表彰台圏内を走行していましたが、2日目はかなり荒れた展開になりました。難しいコンディションで、午前中には軽いコースオフも経験しました。そのため午後はペースを上げるのが難しかったです。気持ちの面でも一歩引いてしまったと感じています。今回の高山はこれまで経験してきたラリーで、コンディションへの対応が最も難しかったです。悔しい結果になりましたが、気持ちを切り替えて、TGR WRCチャレンジプログラムの最終選考に向けて頑張ります」

■平川真子(MCC5位)
「最終日は路面がかなり汚れており、まずは生き残るのに精いっぱいでした。それでもチームがセッティングを変えてくれたおかげで、安心して走ることができました。今回、路面の変化が大きかったですが、しっかりコンディションを確認しながら完走できたことにホッとしています。クルマのセッティングに関しては、自分としても良い方向に進んでいる実感があります」

■田部井翔大(MCC6位)
「最終日の午後は、自分でも良い走りができたと思います。今シーズン、このような機会を用意していただいたことに、まずは感謝しています。本当に多くの方々の協力があって、MCCを戦うことができました。全日本ラリー選手権は、自分が考えていたよりはるかにレベルが高く、自分に足りない部分をしっかり学べました。そして、同年代のドライバーとハイレベルな環境で戦うことで、多くの刺激も受けました。こういった舞台を作っていただいた豊田章男会長に、心から感謝しています」

■及川紗利亜(MCC7位)
「最終日の午前中は、路面に泥が広がるなか、綺麗なラインで走ることの難しさを感じました。午後はそれを踏まえて走りました。経験値を積むためにも、走り続けることが重要だと実感しています。リエゾンでもコ・ドライバーの安藤(裕一)選手と話しながら改善し続けたことで、上位陣に少し近づくことができました。久万高原は生き残ることを目標にしていましたが、今回はSSごとに、自分のできることが増えていきました。次のシーズンに向けて、収穫の多い一戦になりました」

■伊藤はづき(MCC8位)
「今シーズンはモントレー、久万高原、そして今回の高山の3戦に出場しました。デビュー戦のモントレーは楽しく走れましたが、続く2戦は我慢の連続となりました。それでも必死に完走を目指すなかで、多くの収穫があったと感じています。MCCでは、これまで参戦してきたラリーとは異なり、CUSCO Racingから素晴らしいサポートをいただきました。準備段階から様々な相談にも乗ってもらい、一層頑張りたいという気持ちになりました。本当に刺激の多い1年でしたが、また来年も挑戦したいです」

■服部紡久(MCC9位)
「今回は完走を第一に、しっかりとペースを抑えて丁寧に走ることを心がけました。最終日はパンクもありましたが、午後は午前中よりも路面がきれいになったことで、安心して走ることができました。前戦の久万高原を踏まえ、今回はクルマに慣れることができたので、とてもいい経験になったと感じています」

本日のレースクイーン

小高実和おだかみわ
2025年 / スーパー耐久
Access Racing
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円