前回の鈴鹿に続いて、天候に恵まれることとなった決勝レース。しかし、2グループ開催ということで決勝レースは日曜日に連続で行われるため、グループ2は早朝8時からスタート進行が開始され、少々眠い目をこすりながらのコースインとなった。今回もスタートを担当するのは金井だ。しかし、いつもと異なるのは、目の前に同じST-5クラスの車両がいないこと。おのずと気合も入るというものだ。スタートを決めた金井は、オープニングの1周だけで1秒近く2番手を離し、その後も徐々に差を広げていく。1時間経過時には、実に12秒ものマージンを稼いでいた。
そして1時間15分経過した、40周目にTRES☆TiR☆NATS☆ロードスターを呼び戻して、岡田にシートを託すこととなる。ドライバー交代と併せ、タイヤは左側の2本だけ交換。この間に4番手となったが、ライバルはまだピットに入っていない。全車、最初のドライバー交代を済ませると、1台の先行を許してはいたが、岡田はわずか5周で抜き去って、トップに返り咲く。そのまま、また差を広げていったから、なんとも頼もしきルーキーだ。
そして、残り1時間を間もなく切ろうという61周目に、猪爪にバトンタッチ。ここでは右側のタイヤ2本のみ交換する。ライバルより交代が早いため、3番手でコースに戻るも、やがてトップにも返り咲くはずだった。しかし、また1台に先行を許していたのは、タイヤ無交換だったため。ロスを最小限とし、また義務づけられたピットストップ2回で済まそうとしているのが明らかになる。実はTRES☆TiR☆NATS☆ロードスターは、速さを活かすべく、あらかじめ3ストップと決めていたのだ。
78周目のアトウッドでトップを奪い返した猪爪は、そのまま逃げるも、給油の時は刻一刻と近づいていき、残り25分となった82周目にスプラッシュ給油を実行。だが、トップで戻ることはできず、3番手に後退。ゴールまでに差を詰めたものの、初優勝とはならなかった。とはいえ、この3位入賞でランキングも5位から3位にまで上昇。昨年の6位から、大きく前進を果たすこととなった。次なるシーズンにはさらなる飛躍、そして初優勝の期待がかかる。
金井亮忠
「速さはあったんですけどね。相手は燃費走行の作戦だったみたいですが、タイムもそれなりに維持して走れていたので厳しかったです。でも、自分たちのベストは尽くせたと思うので、これが現状だと受け止めて、また来年優勝できるよう努力していこうと思っています。4月から進級してきた学生たちと第2戦から全力で戦ってきましたが、ノートラブル、ノーペナルティでシリーズを終えることができ、本当にみんなで頑張ってきて良かったです!」
猪爪杏奈
「予定通りの作戦で、最後はスプラッシュ給油で行きましたが、届きませんでした。またスポンサーを集めるところからやらなければなので大変ですが、またこの舞台に戻って来られたらと思っています。皆さんの支援、応援、本当にありがとうございました」
岡田衛
「木曜日から走っていて、コース上の走りはけっこうシミュレータでやりこんだだけあって、初日からそこそこ走れていまして、金曜日には3人でタイム揃うところまでは来られていたんですが、走り以外のところ、ピットイン〜アウト、FCYとかクラス違いの抜かれ方がスタート前まで不安でした。けれど、チームメイトと一生懸命練習をしたおかげで、自分のスティントはそこそこまとめていけたと思います。チャンスがあれば、デビューでいい感じで行けたので、また! どんどんゲーマーからレースって道を、ちょっとでも示せたらいいなって思います」
猪爪俊之監督
「3ストップは予定どおりだったんですが、もうちょっとロングのペースに磨きをかけていかないと勝てないんですね。初めてライバルを圧倒する速さを手にしたので、皆んなの意見で全員全開で走らせました。しかし3時間レースで1回ピットが多い作戦は、取り戻すのは難しいですね。一発のラップは負けない速さを手にしたので、来年参戦出来たら、決勝の戦略面でも負けない様に頑張ります」