「走り出してすぐに、先代モデルの485psから510psへとエンジンが25psアップしたことを感じます。フロントのカナードやリップ、リヤウイングなど細かな部分の変化もありますが、クルマ全体のダウンフォースが上がっているのを感じます。そのため先代モデルよりもコーナーを速く曲がれていることを実感しました」

「ボディ全体が大きくなり、ホイールベースが延長されたことで下面のダウンフォースがより増えているので、GT3により近い空力に仕上がっていると思います。車重が35㎏重くなっていることも感じますが、重さのわりには、コーナーでクルマが外に持って行かれることはないです。これは、タイヤのグリップというよりも、クルマ全体の空力がアップしており、ダウンフォースがあるので外に持って行かれないのだと思います」

「そして、ドライビングしていて感じたのはブレーキが良く利くということ。ただし、良く止まるからといって、これまでよりもコーナーの奥まで突っ込んでいけばいいという訳ではありません。ブレーキが良く利くメリットを活かし素早いコーナーリングをするためには、より繊細なブレーキタッチが求められます。そういう意味では、速さを引き出すブレーキングコントロールの幅は先代よりも制動距離が短くなる分、難しくなっていると思います」

「また、トラクションコントロールが新しくなっているのですが、これを上手く使いこなせるかもポイントになってくるでしょう。クルマの性能が全体的にアップしているだけに、先代モデルよりもドライバーに求められる色々なスキルは上がっています。あと乗っていて感じたのは、エンジンサウンドがいいことですね。ピットレーンで聞いていた人達も、音が格好いいと言っていました」

 では、タイプ992のカップカーにより2022年のPCCJはどのようになると予想するかも聞いてみた。

「今日は、ニューカップカーのシェイクダウンということで、セッティングを煮詰めておらず、ドイツ側が推奨するキャンバーや車高などを基本に走行したのですが、それでも富士で1分42秒台を記録することができました。セッティングを煮詰めていけば、かなり速く走れる性能を秘めているので、本国側が各サーキットでラップタイムを1%短縮することが可能と言っているのは現実のものになると思いますよ」

「例えば今回の富士のコースレコードが、1分40秒717ですが、30秒台のニューコースレコードが期待できるでしょう。そのためにも、各チーム、ドライバーはシーズン開幕までにどれだけテストをして、ニューカップカーを理解し仕上げられるかが大切になってきます」

「プロクラスは、ドライバーとチームの総合力でセッティングを煮詰めてタイムを出していき、プロアマクラスとアマクラスのジェントルマンドライバーはコーチ役を務めるドライバーと一緒にどこまでクルマとドライバースキルを仕上げられるかが重要になってきます。ニューカップカーが導入される2022年は、完全なイコールコンディションでのシーズンになるので、最適なセッティングを早く見つけ出して、クルマを乗りこなせるかに掛かっていると思います」

 今回のシェイクダウンテストで、先代モデルを上回るパフォーマンスの片鱗を見せた、タイプ992のニューカップカー。2022年シーズンのPCCJで、どのような戦いを繰り広げてくれるのか今から楽しみである。

エンジンパワー、パフォーマンスともに向上した992型911 GT3カップカー。
エンジンパワー、パフォーマンスともに向上した992型911 GT3カップカー。
2022年はタイプ992で、PCCJはどのような戦いが繰り広げられるのだろうか。
2022年はタイプ992で、PCCJはどのような戦いが繰り広げられるのだろうか。

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