更新日: 2023.08.25 15:28
T by Two CABANA Racing 2023 TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 第4戦十勝レポート
T by Two CABANA Racing
RACE REPORT
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2023 Rd.4 TOKACHI SPEEDWAY
限られた走行時間のなかで3台ともにセットアップを詰めていき
堤が予選5番手から序盤でトップに立ち今季初優勝を果たす
Qualifying
#7/5th/1’32.761 #700/9th/1’32.887
#770/17th/1’33.063
路面コンディション:ドライ 気温:25度 路面温度:30度
年間7戦のシリーズ戦として競われている2023年のTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup。今季は5月に宮城県のスポーツランドSUGOで開幕し、6月には第2戦が大分県のオートポリス、7月には第3戦が栃木県のモビリティリゾートもてぎ、そして今回の第4戦は北海道の十勝スピードウェイで8月19日(土)に予選、20日(日)に決勝レースが開催された。
道東の更別村に位置する十勝スピードウェイは、普段から走行を重ねられるコースではなく、レースウイークの限られた時間で路面コンディションとマシンのセットアップを合わせ込む必要がある。ただ、T by Two CABANA Racingは2020年と2021年シーズンに表彰台を獲得していて、十勝スピードウェイは相性の良いコースと考えている。
今シーズンはエースドライバーの堤優威選手が開幕戦からポイントを積み重ねていて、シリーズランキング3位で今戦を迎えた。700号車を駆る地頭所光選手は開幕戦で入賞を果たしたが第2戦、第3戦は流れが掴めずノーポイントとなっていて、シーズン折り返しとなる第4戦では上位に入る活躍をみせたいところ。770号車の山田遼選手は、プロフェッショナルシリーズに今季から参戦をはじめていて、まだ実力を発揮できないでいるが徐々に調子は上向きとなっている。
チームは8月17日(木)にサーキット入りし、まずはマシンのチェック走行からスタート。堤選手と地頭所選手は1年ぶりの走行になるが、山田選手は初走行のため走行機会は限られるが習熟に努めた。翌日の18日(金)も3本のスポーツ走行枠があり、最後はタイム計測のある専有走行が設けられていた。
2本目の走行枠でレースウイーク初の予選を想定したシミュレーションを行い、専有走行でも同じくニュータイヤを投入し3台ともタイムアタックを実施。十勝スピードウェイを得意としている堤選手はトップから0.165秒差の1分32秒755で2番手、地頭所選手は0.369秒差の1分32秒959をマークするが13番手、セットアップの調整が裏目に出た山田選手は1分33秒618で28番手となった。
2日間の練習走行を経て8月19日(土)は予選日となり、予定どおりの12時35分から15分間で競われた。前日の夜から明け方に掛けて降雨があったため路面コンディションは専有走行とは異なることが想定され、プロフェッショナルシリーズの前に行われたクラブマンシリーズではタイムが伸びなかった。
チームは予選の終了間際にアタックすることを決め、3台ともにタイミングを待つ。残り5分のところで地頭所選手がコースインし、続けて堤選手と山田選手もアタックに入った。地頭所選手はセクター1で全体ベストタイムを記録するが、セクター2で少しタイムロスがあり1分32秒887となる。堤選手はセクター2、3で好タイムを出し1分32秒761、山田選手は1分33秒063で予選を終えた。結果として堤選手は5番手、地頭所選手は今季ベストグリッドとなる9番手、レースウイークでのベストタイムを記録した山田選手は17番手となった。
Final
#7/1st/22’40.443 #700/13th/23’01.940
Final #770/14th/23’04.052
路面コンディション:ウエット→ハーフウエット 気温:25度 路面温度:28度
8月20日(日)は朝から天気予報になかった雨となったが、プロフェッショナルシリーズのスタート前には止み、第4戦の決勝レースは路面がウエットからドライに変わっていく難しい状況のなかで競われた。チームは路面コンディションが14周の決勝レース中に好転していくと考え、堤選手と地頭所選手はドライコンディションのときに近いセットアップで出走した。
決勝レースは予定から5分遅れの11時55分にスタートする。5番グリッドからスタートした堤選手は、抜群のスタートを決めると1コーナーまでに2台をオーバーテイク。さらに、1コーナーで2番手のマシンにアウト側から仕掛けて2コーナーまでに2番手までポジションを上げる。
2周目には1~2コーナーでポールポジションスタートの#199平良響選手をパスしてトップに浮上。トップに浮上した直後の数周こそ2番手のマシンに接近されるが、路面状況が徐々にドライへと変わって
いくと、9周目には1分34秒684の自己ベストタイムを記録し、後続との差をじわじわと引き離していく。最終的には2位に約4秒もの差をつけてトップでチェッカーを受け、今シーズン初勝利を飾った。
9番手からスタートした地頭所選手は好スタートを決めたが、3コーナーを越えたところで発生した複数台が絡むアクシデントに巻き込まれてしまい、18番手までポジションを下げてしまう。この接触によりボディにダメージを負ってしまうが、セットアップが合っていたこともあり、2周目と5周目に1つずつポジションを上げ、10周目にはさらに2つ順位を上げた。レース終盤にもう1つポジションを戻すと13位でレースを終えた。12周目に記録した自己ベストタイム1分34秒749は、上位陣にも引けを取らないタイムだっただけにレース序盤のアクシデントが悔やまれる。
十勝スピードウェイでの初レースとなる山田選手は17番手からスタートすると、前方で発生したアクシデントをうまく避けて4ポジションアップの13位で1周目を終える。堤選手と地頭所選手とは異なるセットアップで決勝レースに臨んだ山田選手は、決勝レース前半は好ペースで走行できたが、ドライアップしていくにつれて厳しくなる。それでも後続を抑えつつバトルを重ねていき、14周目に14位でチェッカーを受けた。
今季初優勝を遂げた堤選手はこの勝利でポイントランキング2位に浮上し、トップの#88井口卓人選手との差を3ポイントに縮めた。次戦の岡山国際サーキットは、昨年の最終戦で勝利しているため連勝を狙って準備を進めていく。
安藤宏チームオーナー
「3台ともに練習走行から調子は良く、専有走行では堤選手が2番手となり期待が持てました。予選では路面コンディションの変化によって、想定より苦戦しましたが、3台ともにレースに臨む最低限のポジションを確保できました。決勝レースは堤選手が完璧なスタートからトップに立ち安定したレース運びをみせて今季初勝利を掴んでくれました。地頭所選手は専有走行から速さがありましたが、決勝レースの序盤で起きたアクシデントに巻き込まれて順位を下げてしまったことが悔やまれます。接触後のペースも非常に良かっただけに残念でした。山田選手は初めてのコースでの荒れたレースのなかでも、順位を上げてチェッカーを受けてくれました。決勝レースは降雨で判断が難しい状況でしたが、各車両のパフォーマンスは高く、チームの総合力で優勝を果たせたと思っています」
#7 CABANA BS GR86 堤優威選手
「走り始めはコースの特性に合わせたセットアップの調整が必要でしたが、コンディションとの合わせ込みもうまくいき上位に入れる感触を持ちました。ただ予選ではタイムが伸びず5番手となり、決勝レース前は表彰台が現実的な目標でした。決勝レース日は朝から雨が降り判断が難しいコンディションとなったのですが、レース中に路面が乾いていくと判断してセットアップとタイヤ内圧をドライ方向にしました。その戦略がはまり、2周目までに4台を抜くことができ優勝できました。昨年の十勝スピードウェイではクラッシュによってチームに迷惑を掛けてしまったため、1年越しでリベンジができ非常に嬉しいです」
#700 Wrison/カバナ GR86 地頭所光選手
「練習走行ではスプリングを替えるなどコースに合ったセットアップを引き出す作業をして、それが専有走行と予選での好パフォーマンスに繋がりました。予選はセクター1で全体ベストを出せて良かったのですが、セクター2で少しタイムロスしたことが悔やまれます。それでも決勝レースは、今季初のトップ10内からのスタートだったので期待していました。タイミング良くスタートが切れたのですが、その後の混乱で接触されて勝負権を失いました。ラップタイムを考えると、ポイント獲得の可能性が高かっただけに悔しいです。予選までは速さを見せられたと思うので、次戦では是が非でもリザルトを残したいです」
#770 HYPERWATER/カバナ GR86 山田遼選手
「十勝スピードウェイは今回が初走行だったために、慣れるのに苦労しました。それでも練習走行、専有走行と周回を重ねるごとに特性は掴めていきました。予選はレースウイークのベストタイムでしたがトップとは差があり、ドライビングも含めて課題はまだまだ多いです。決勝レースは前半が勝負だと思い、濡れている路面にあったセットアップで挑みました。先行していた集団が接触したために順位を上げられ、ペースもよくトップ10内も見えていました。結果としては14位でしたが、上位とのギャップは縮まっています。激戦のGR86/BRZ Cupで好成績を残すには予選でのパフォーマンスがカギとなるので、次戦ではスピードアップを図りたいです」
山崎登チーフエンジニア
「レースウイークは木曜日からの走行となり、3台ともに感触は悪くありませんでした。2日間の練習走行で予選と決勝レースに向けての準備はでき、上位で争えるマシンに仕上げることができました。ただ予選は路面コンディションが変化したことでグリップ感がなく、想定ほどのタイムが出せませんでした。決勝レースは天候が読みにくくセットアップを見極めるのが難しかったのですが、堤選手は素晴らしい走りでトップチェッカーを受けます。地頭所選手はオープニングラップの不運なクラッシュで順位を下げましたが、最後まで諦めず戦ってくれました。山田選手は初のコースでしたが3日間で良くまとめて、決勝レースでも順位を上げてフィニッシュし、評価できる内容でした。次戦の岡山でも重要なのは予選なので、できる限り上位に食い込めるように準備を進めます」