CFRP(炭素繊維強化プラスチック)だけで必要な剛性を確保するとはできないので、金属のインサートがウイング~ステー~ノーズにかけて入っている。そのぶん重くなるが、それを見込んだ設計が行われているはずだ。

共通点その2もまるっきりメルセデスと同じで、アップライトを延長し、高い位置でアッパーアームを支持している(写真:4)。フロントウイングのステーとは状況が逆で、上下アームのスパンが広くなり、荷重を受け止めやすくなる。17年はダウンフォースの増加とタイヤグリップの向上により、コーナリングスピードが格段に増す。そうなるとサスペンションへの入力も大きくなるが、その大きな力を受け止めやすくなる設計だ。
という効果は副次的で、空気の通り道を広げるため、ロワーアームの位置を高くしたかったという思いが先だろう。

サイドポンツーンのアンダーカットは大きく、全体にスリムだ。ただ、姉妹チームのレッドブルとは異なり、有機的な形状をしている。Red Bullのロゴがあるあたりは熱交換器のシルエットがそのまま浮き出たような格好だ(写真:5)。
そのサイドポンツーンのリーディングエッジ(前縁)には、ブラインドカーテンを構成する羽根に似た板が1枚追加されている(写真:6)。飛行機に用いられる前縁スラットと同じで、スラットと前縁の間から下側の圧力の高い空気を上側(この場合サイドポンツーン上面)に導く意図だろうか。