F1の歴史におけるローランド・ラッツェンバーガーの名前は脚注にすぎないのかもしれない。オーストリア人の彼は、他の多くのドライバーと同様にグランプリに数回出走したペイドライバーのひとりであり、本来なら5レースを戦ったのちにシムテックとの短期契約を終了し、すでに名を馳せていたスポーツカーでのレースに戻っていったはずだった。
日本で4シーズンを過ごしたこともあるオーストリア人は、夢を実現するにいたった屈することのない決意の大きな証となった。称賛されるべき彼のF1への道のりは、決して簡単なものではなく、大人になってからの人生すべてをF1に捧げていなければ達成できなかったはずだからだ。