中嶋一貴が7号車を追い抜き、それからは2台のトヨタTS050ハイブリッドマシン同士の正々堂々とした戦いになった。セーフティカーが果たした役割、8号車のより速いペース、それにレース終盤の小林可夢偉のミスが、結果を決定した。

 そのため24時間のレースの後、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、フェルナンド・アロンソが今年の伝説的レースの優勝者となったのだ。2位はマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペスだった。この結果により、中嶋は日本のチームから日本車で優勝した初の日本人ドライバーとなった。過去数年にわたる苦しみを経て、フィニッシュラインを通過した後の彼の笑顔はまるで子供のようだった。一方、フェルナンド・アロンソは、1972年のグラハム・ヒル以来となる、ル・マンで優勝したたった5人のF1世界チャンピオンのひとりとなった。

 とはいえ、2018年のトヨタのル・マンへの挑戦にミスがなかったわけではない。セバスチャン・ブエミは“スローゾーン”で速度を出し過ぎ、8号車はペナルティを受けた。その後もレース中に再び両マシンに同ペナルティが科されることになった。そして小林可夢偉がレース終盤で給油のタイミングを逸したことは、良くないミスだったかもしれないが、今年のレースで1位と2位を獲得したチームには許されないことだろう。

 幸運にもライバルたちはずっと離れており、ベストリザルトが脅かされることはなかった。おそらくこのことがチームをリラックスさせたのだろう。アウディやポルシェがコースにいたら不可能なことだ。だが、肝に命じておくこと、改善すべきことがひとつあるとすれば、それは小さなことを改めるということだ。カイゼンの哲学は最高だ。2018年のル・マンは最高だった。2019年のル・マンはさらに良くなるはずだ。だがその前に、シルバーストン、富士、上海、セブリング、スパ・フランコルシャンでのレースがある。

 いずれにせよ、日本のモータースポーツ界に向けたル・マン24時間前後のニュースの重要性について話すとしたら、留意すべきことは多々あった。まず、ハイパーカースタイルのマシン向けの新たなクラス“GTプロトタイプ”がLMP1に取って代わり、WECのトップクラスとなることが確認された。これらの新型マシンは2020年/21年シーズンに導入される。

 このクラスはトヨタを引き込みシリーズに残留させることになるかもしれない…。そして、レッドブルがホンダと契約したことがついに確認された。ホンダは2019年F1シーズンからレッドブルのエンジン供給者となる。レースに関して言えば間違いなく、日本はますます世界の注目の的になってきている。最後に、私はばかげた小さな事実を見つけて笑わずにはいられなかった。トヨタは第86回目のル・マン24時間で初優勝を飾った。ハチロクだ!

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