レーシングドライバーというのは、いかに100%でマシンをコントロールするかが重要となる。99%ではライバルに負け、0.1%でもオーバーすれば、クラッシュすることになる。その限界を見分ける能力がフェルスタッペンは高いと、田辺豊治F1テクニカルディレクターもモナコGPの予選でのフェルスタッペンの走りを振り返る。
「アタックを終えた後のエンジニアとの会話を聞いていても、まるでスローモーションのように自分のラップを説明することができる余裕を持っていますね。モナコは攻めれば攻めるだけ速くなる一方で、リスクも大きくなるコース。周囲のドライバーのラップタイムを見て、これ以上、リスクを取っても無駄だなと思ったんでしょう。本当のトップドライバーですね」
抜きにくいモナコGPでは、ポールポジションがほかのどのグランプリよりも優勝に近いグリッドだ。しかし、最近の5年間でポールポジションから優勝したのは、じつは2回にとどまっており、必ずしもポールポジションが優勝するための指定席とはなっていない。
「メルセデス勢の近くにとどまっていられれば、戦略しだいでチャンスがある。レースでどんな展開になろうと、最高の結果を得るためにベストを尽くす」(フェルスタッペン)
フェルスタッペンがQ3の最後のアタックをやめた理由は、「メルセデスとの勝負を諦めたからではなく、いまは勝負すべきときではない。本当の勝負は、日曜日の午後だ」と判断したからではないだろうか。
78周で争われるモナコGP決勝レース。予選で他車のアタックを妨害したとして、3番手降格のペナルティを受けて8番手からスタートすることとなったピエール・ガスリーとともに、3番手スタートするフェルスタッペンの走りに期待したい。