さて2019年シーズンも全レースが終了しましたが、今年は本当に大変でした。新しくチームを作っていつまでもずっと順調に右肩上がりに成績が良くなることはありえないですし、どこかで問題が起こるときが来ます。それが起こったのがチーム創設4年目となる2019年でした。
すごく大変なシーズンでしたけど、そのなかでも良かったのは、みんなが最後まで諦めないで最善を尽くしてやってくれたので、いろいろな面で悪かった点がわかってきたことです。もちろん、クルマが速くなかったのは空力の開発が上手くいかず、アップデートでクルマを速くすことができなかったからです。重要なのはなぜそうなったのか、根本的な原因を突き止めて、将来同じ過ちを犯さないように対処することです。
若いチームはどこかでつまずくことがありますが、そういう時にどう対処するかというのがいちばん重要です。そういう意味ではできる限りのことはできていると思うので、2020年は良い年にできると思っています。
ふたりのドライバーへの評価ですが、ロマンに関してはフィードバックがとてもよかったので、彼のおかげで必ずしも当初データでは明らかではなかった空力の問題に目を向けることができました。反対に悪かった点は、相変わらずアップダウンが激しいことと、すぐパニックになることでした。
ケビンについては、彼はクルマが悪くても、悪いなりにベストを出せていたことがよかったです。難しいクルマでも予選でロマンを上回っていましたからね。反省点は、今シーズンのウチのクルマは本当にレースを戦うのが厳しいクルマでしたが、そんななかでもレースでタイヤを上手く使えないでズルズルと順位を落としてしまうのをもう少しなんとかできればよかったです。
また第7回のコラムでも触れたことですが、ケビンは、気にしなくてもいいようなことまで心配してしまう時があります。実は今年、この点がすごくよく改善されました。ハースF1チームで3年目という落ち着いた環境が彼にはとてもよかったようです。
ケビンには、これまで少なくともF1では同じチームから2年以上レースにフル参戦した経験がありませんでした。そういう意味では2年目の2018年も大きなステップとなりましたが、3年目の今年はくだらないことを考えず、集中すべきことに集中できていたので、それが予選パフォーマンスに繋がったということもあると思っています。ケビン自身もこの点が改善されたと自覚していたので、これは来年に繋がる大きなことです。
ただ、これはロマンにもケビンにも言えることですが、今年は同士討ちのせいでチームとしても貴重なデータを失ったことがあったので、2020年は手綱を引き締めてやらないといけないですね。
最後に、マクラーレンから空力部門のスタッフがハースへ移籍するのではないかという報道がありましたが、根拠のない報道(!)ですので何もコメントすることはありません。