■賭けに勝ったレッドブル・ホンダ
その後もほぼ毎戦優勝争いに絡むようになったレッドブル・ホンダだったが、夏休み以降はその勢いを失ってしまう。第13戦ベルギーGP、第15戦シンガポールGP、第17戦日本GP、第20戦ブラジルGPと、アップデートの手が休まることはなかったが、その効果は限定的に見えた。
数字の上でも最終戦までの9戦でレッドブルRB15は、最速マシンに比べて平均0.483%遅い。1周80秒のコースと仮定すると、約0.4秒の遅れとなる。獲得ポイントで夏休み前のオーストリアから第12戦ハンガリーGPまでは、平均20.33だったのが、ベルギーGP以降は19.22まで落ちている。ただしこれはスタート直後の度重なる接触事故など、車体性能とは直接関係ない要因が大きかった。
レッドブルは多くのシーズンで、開幕序盤は相対的な戦闘力でライバルに負けている。それが中盤以降盛り返し、最後には最強かそれにほぼ近いレベルのマシンに仕上げる。そんな独特のパターンを、2019年も踏襲したといえるだろう。そこにはトロロッソ同様、ホンダ製パワーユニットの貢献も大きかった。飛躍的に向上した信頼性の下、ホンダPUはどんどんパワーアップして行った。
しかし類似した空力コンセプトであるメルセデスとのパフォーマンス比較を見ると、メルセデスが苦手なサーキットでも被害を最小限に食い止めているのに対し、レッドブルはパフォーマンスの落ち込みが大きいことがわかる。2020年に本気でタイトル獲得を目指すのなら、シーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮することが、何よりも重要だろう。