第4戦イギリスGPではシャルル・ルクレールが3位表彰台を獲得したフェラーリ。コンストラクターズ選手権では、レーシングポイントを抜いて、4位に浮上した。今週の気になるニュースは、そのフェラーリの体制変更に関する一連のニュースだ。

 フェラーリが技術部門の再編成を行ったことを発表したのは、ハンガリーGP明けの7月22日だった。autosport webの7月23日付けニュース『低迷からの脱却目指すフェラーリF1、技術部門の再編成を発表』によれば、「新たにパフォーマンス・デベロップメント部門が新設され、エンリコ・カルディルが責任者を務める」一方で、「パワーユニットの責任者をエンリコ・グアルティエリ、スポーティングディレクターおよびトラックサイド活動責任者をローレン・メキース、シャシー・エンジニアリング部門の責任者をシモーネ・レスタが務める」と、現行の体制に変更がないことも記されていた。もちろん、チーム代表のマッティア・ビノットもそのまま。つまり、今回の組織変更の意図が見えづらかった。

 そのため、この発表後、最初のグランプリとなったイギリスGPでは、レース後のフェラーリの会見でこの体制変更についての質問が飛んだ。そして、ビノット代表は、「フェラーリF1でチーム代表とテクニカルディレクターの役割を務めていたが、後者のポジションから離れたこと」を明らかにした(autosport webの8月5日付けニュース『フェラーリF1代表ビノット、テクニカルディレクターの座を離れ、チーム統率に専念』)。

 つまり、今回の組織変更の狙いは、フェラーリの技術部門のテコ入れというよりも、チーム代表も兼務しているビノットのテクニカルディレクターとしての能力に限界を感じたための措置だったことになる。

 これでビノットがチーム代表としての仕事に専念できることになったが、それでビノット体制が安泰だと結論づけるのは早計だろう。なぜなら、フェラーリ会長のジョン・エルカーンは「フェラーリF1チームは2020年と2021年にはコンスタントに勝利を挙げられる状態にはならない」と予測しているとも報じられているからだ(autosport webの7月30日付けニュース『フェラーリ会長、2022年までF1での完全復活は困難と示唆「多数の構造的弱点を抱えている」』)。

 このニュースは、エルカーンがイタリアの『Gazzetta dello Sport』のインタビューで語ったものを元に作られており、その中でエルカーンは、「フェラーリF1チーム代表を務めるビノットを完全にサポートしている」と述べているが、果たして本当だろうか。

 むしろ、今回の体制変更は、ビノットの指導者としての能力に疑いを持ったエルカーンが、ビノット抜きで開発を進められるようビノットをテクニカルディレクターから外したように思える。

 では、なぜビノットは解任されないのか。それはエルカーンが指摘するように、フェラーリは2021年シーズンが終了するまで、コンスタントに勝つことができないからだ。エルカーンとしては勝てない時期にビノットを代表の座にとどめ、2021年シーズンが終了してから、新代表を招聘するほうが得策だと考えているのかもしれない。

 つまり、今回のフェラーリの体制変更に関する一連のニュースは、これから始まるフェラーリの内紛の始まりの一歩にすぎない可能性があるという意味で興味深かった。

セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2020年F1第4戦イギリスGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2020年F1第4戦イギリスGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)が3位獲得
2020年F1第4戦イギリスGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)が3位獲得

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