タイトル決定戦となったアブダビGPの初日、メルセデスAMGの2人が異なる空力パッケージを使用していたことが判明した。

 ポイントリーダーのニコ・ロズベルグが後半戦のレースで使用してきた従来のフロントウイングをフリー走行2回目で使っていたのに対して、逆転王座を狙うルイス・ハミルトンはフリー走行2回目で、まだレースに実戦投入したことがない新しいフロントウイングを採用していた。

 この新フロントウイングは、翼端板とメインフラップが完全に接着しておらず、金属製のコネクターでジョイントされた仕様となっている(写真の赤色矢印)。マレーシアGPに初めて投入されたが、結局レースには投入されなかった。その後も、日本GP、アメリカGP、メキシコGP、ブラジルGPと4戦連続でサーキットに持ち込まれたものの、その使用はフリー走行1回目に限られていた。そのため、この新フロントウイングはレースでのパフォーマンスアップを目的として製作されたものというよりは、来シーズンのパーツ開発のためのテストパーツだと考えられていた。

従来型のフロントウイング
従来型のフロントウイング

 ところが、ブラジルGPではハミルトンのレースエンジニアのピーター・ボニントンが「正しいセットアップさえ見つかれば、レースで使用することもあり得る」と語っていた。結局、ブラジルGPでもメルセデスAMGは2台とも従来のフロントウイングを使用したが、アブダビGPではハミルトンがフリー走行2回目でも新フロントウイングを使用していた。

 フリー走行2回目は、予選のための一発のアタックを行うだけでなく、レースで正しいタイヤ戦略を行うためのロングランを行うなど、さまざまなメニューが組み込まれている。つまり、来年用のテストプログラムは本来は組み込まれない。したがって、フリー走行2回目の使用した空力パッケージは、ほぼレースで使用する仕様だと考えていい。

 もちろん、フリー走行2回目の後に、空力パッケージを元に戻すことはよくあることなので、これをもってハミルトンがロズベルグと違うフロントウイングで予選とレースを戦うと決めつけることは早計である。だが、フリー走行2回目にハミルトンがトップタイムを叩き出していることを考えると、新しいフロントウイングに問題があるとは思われにくい。

 もし、本当にハミルトンが新フロントウイングを土曜日以降にも使用してきた場合、その狙いはなんなのだろうか。リスクを冒してでも、予選でポールポジションを獲得し、レースでも優勝するために賭けに出たのか。あるいは、すでに今シーズンはあきらめて、来シーズンへ向けたデータ収集を行っているのか。

 ハミルトン1分44秒861。ロズベルグ1分44秒940。その差0.079。この差が意味するものはなんなのか、金曜日の時点ではわからないが、その差を生んだのが異なる2種類のフロントウイングだったことは間違いない。

本日のレースクイーン

生田ちむいくたちむ
2026年 / オートサロン
CABANA
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技
    【最難関は最初にやってくる】
    FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年4月号 No.1618

    新世代F1テクニカルプレビュー
    バーレーンで見えた5つのポイント

    新型GT500車両メーカーテスト
    「見えるもの。見えないもの」

  • asweb shop

    2026年のF1シーズン開幕を記念して、autosport web shopでは対象のF1新作グッズをご購入で送料無料となるフェアを開催中!

    新作アイテムはもちろん、気になっていた過去シーズンの人気商品を一緒にご購入いただくのもおすすめ。