第9戦オーストリアGPでのアルファタウリ・ホンダは、ピエール・ガスリーが予選6番手、角田裕毅も自己ベストの7番手獲得と、高いレベルのパフォーマンスを発揮した。しかし決勝レースでは予想以上にペースが伸びず、ガスリーは9位、角田は2度のペナルティを科されたこともあって12位完走に終わった。
予選ではトップ10内の速さを発揮しながら、なぜレースで失速してしまったのか。期待した結果が出せなかったことについてホンダF1の本橋正充チーフエンジニアは、「タイヤを含めた戦略的な部分の見直し」の必要性に言及した。
次戦イギリスGPでは、史上初の『スプリント予選』が試験導入される。本来の予選が初日に行われ、2日目以降に100kmのスプリント予選と本レースが戦われる未知のフォーマットでは、パワーユニットへの負荷も通常レースより高くなる。「これまで以上にパフォーマンスと信頼性のバランスが重要」と、強調していた。
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──速さを発揮した予選から一転、レースは残念な結果になってしまいました。
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):そうですね。先週の状況をさらに向上しようといろいろなことをトライしたのですが、クルマもいまひとつまとまらなかった。それでも予選までには何とかまとめて、そこそこのペースを出すことはできました。しかし決勝レースでは、特に(角田)裕毅の方のペースは上がらなかったです。あとは週末を通しての、タイヤを含めての戦略的なところですね。ここは次戦に向けて、見直しが必要かもしれません。
──初日フリー走行から積極的にミディアムタイヤを使って、早い段階からソフトタイヤをスタートタイヤに設定した印象です。
本橋CE:そうかもしれません。先週よりタイヤが1段階柔らかくなった。それもあって、そういう戦略だったのかもしれません。
──ウイリアムズがミディアムでQ3に進みました。結果論かもしれませんが、ミディアムでQ2を戦う選択肢はなかったのでしょうか。
本橋CE:そこも含めてですね。初日にどのタイヤを使うのかもそうですが、予選まで見越して事前の検討はもちろんしていたのですが、実際に走ってみたらそれとは違う結果だったという部分もあります。実際の結果からのフィードバックなど、もう少し柔軟性を持てるやり方が求められた気はします。
──FP2でふたりともソフトでかなり長いスティントを走って、そこである程度ソフトのロングランの感触を得たのだとは思います。しかしレースでは、予想以上に劣化が激しかった?
本橋CE:そうですね。予想よりデグラデーションが大きかった。ソフトもハードもですね。何が影響してるのかはわかりませんが、DRSトレインのなかでのタイヤのダメージもあったとは思います。そこは予想より大きかったかもしれません。
──気温、路面温度は初日と大きく変わらなかっただけに、そこが大きな変数だったのですか? それとも乱流のなかにいた時のタイヤの傷み方ですか。
本橋CE:ですね。それとご存知のように、予選前までペースが思わしくなかったので、少しセットアップを変えました。そのためにFP2である程度見えていたソフトでのロングランペースの優位性が、決勝レースでは見られなくなった、ということでしょうか。