──一方でフェラーリは、あえてQ3に進まない割り切った決断をしていました。あれは意外な決断でしたか?
本橋CE:2ストップ作戦が本当に1ストップより優位なのかとか、その辺は(事前に)天秤にかけていました。でもレース結果を見る限りは、フェラーリの作戦勝ちでしたね。
──モナコからアゼルバイジャン、フランスといい流れで来ていたのが、オーストリア2連戦は期待したほどの結果を出せませんでした。
本橋CE:そう思います。一発の速さは見せられたものの、レースまでを見据えると、フランスまでの勢いが落ちてしまった印象です。気持ちを入れ替えて、次戦シルバーストンまでに準備して、もちろんパワーユニット側もそこは同じです。
──パワーユニットはこの2連戦で、特に問題はなかったのでしょうか?
本橋CE:はい。気温も先週より下がっていましたし、そもそも先週にしても警戒するほど高いわけではなかったですが。そのなかで週末の状況に合わせたセッティングも、しっかり出せていました。気温の低かった今週末はさらに、パワーユニット的にはスムーズでした。
──メルセデスのトト・ウォルフ代表が囲み取材の際に、「今年のホンダのパワーユニットは、エネルギーマネージメントの分野での進化が著しい」と言っていました。そこは実際に、開発や使い方で注力していたところですか。
本橋CE:そうですね。以前もお話ししたように、今季のパワーユニットはエネルギー回生利用の性能も上がっています。それによってレース現場でのセッティング幅も広がっている。ない袖は振れないのはもちろんですが、そこはさくらとミルトンキーンズが(開発を)頑張ってくれたおかげで、現場運営としてもターゲットや状況に応じてパフォーマンスが調整できる、懐が広くなった感はありますね。