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F1 ニュース

投稿日: 2023.04.11 07:02
更新日: 2023.04.11 07:20

【全ドライバー独自採点/F1第3戦】大きなチャンスを残酷に奪われたラッセル。マシンに苦しみながら今季初入賞の角田

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F1 | 【全ドライバー独自採点/F1第3戦】大きなチャンスを残酷に奪われたラッセル。マシンに苦しみながら今季初入賞の角田

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はオーストラリアGPでの戦いぶりを振り返る。

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 今年のオーストラリアGPで各ドライバーの評価を行うのは、非常に難しかった。素晴らしいパフォーマンスを発揮してきたにもかかわらず、終盤のリスタートで失態を演じてすべてが台無しになってしまったドライバーが何人かいる。だがたった1回のミスで否定的な評価を与えるのはあまりに酷だと思うので、いったん高い評価を与えたうえで、ミスの重大さに応じて2点あるいは3点減点するという解決策を用いた。そもそも、混乱の責任の一部は、最初の1周でアクシデントが起こりがちなこのサーキットで何度もリスタートを行ったレースディレクションにあるのは明らかなのだ。

■評価 10/10:最も傑出も、運に恵まれなかったラッセル

ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選2番手/決勝リタイア

 混乱の週末において最も傑出していたドライバーは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)だ。パワーユニットの故障により、マックス・フェルスタッペンと勝利を争う機会を残酷にも奪われた。予選Q3の初めまでは苦戦していたが、最後の最後に素晴らしいラップを走り、フロントロウを確保した。良いスタートを切り、ターン1での動きを成功させたことで、トップに浮上。セーフティカー出動時にピットインしたのは、論理的な戦略だったが、その直後に赤旗が出てしまったことで、後退することになった。その後、ニコ・ヒュルケンベルグ、ランス・ストロール、ピエース・ガスリーを抜いて、タイヤをセーブしつつ、後半にはフェルナンド・アロンソにアタックして表彰台を獲得することを目指していたのだろうが、トラブルによりリタイアせざるを得なかった。

2023年F1第3戦オーストラリアGP パワーユニットトラブルでリタイアしたジョージ・ラッセル(メルセデス)

■評価 9/10:予想よりは苦戦を強いられたフェルスタッペン

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/決勝1位
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選3番手/決勝2位
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選4番手/決勝3位

 レースウイナーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、今回はチームメイトとの間には何も問題はなかったが、珍しくいくつか小さなミスを犯し、予想よりは困難な週末を送ることになった。Q3の最初のアタックでワイドになったが、最終的には2番手に0.236秒差でポールポジションを獲得。レースではスタートが悪く、序盤数周に非常に保守的なアプローチをとったことで、3番手に後退した。しかし最初の赤旗によってラッセルがトップ争いから脱落し、ハミルトンとのバトルでは、DRSを使って難なく前に出た。その後はレースをコントロールしているようにみえたが、最後から2番目のコーナーでコースオフし、3秒以上をロスする場面もあった。勝利を無事獲得できたものの、そこまでの過程は、予想されたよりもはるかに困難だった。

2023年F1第3戦オーストラリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝
2023年F1第3戦オーストラリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝

 ルイス・ハミルトン(メルセデス)にとって、この週末に可能なベストな結果は2位だった。予選Q3の序盤にセンセーショナルなラップを走り、暫定ポールポジションの座についた。しかし2回目のランでは、トラフィックの影響でタイヤの温度を思うように上げることができなかった。レース1周目に見事なレースクラフトを発揮してフェルスタッペンを追い越し、ラッセルがレースをリードしている間、DRSを駆使して、フェルスタッペンを抑え続けた。DRSを使えなくなった後は、前の位置を維持することはできなかったが、その後も、再び自分より速いマシンに乗るフェルナンド・アロンソを抑えきり2位を獲得。アロンソからも賛辞の言葉が出るほどのパフォーマンスだった。

2023年F1第3戦オーストラリアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2023年F1第3戦オーストラリアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

 フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は3戦連続で表彰台を獲得したが、今回はメルセデスに敗れたことで、最初の2戦ほどのインパクトはなかった。それでも、いつもどおり、ひとつもミスを犯すことなく、大量のポイントを稼ぎ、ドライバーズ選手権では2位セルジオ・ペレスとの差を縮めた。

2023年F1第3戦オーストラリアGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が3位表彰台
2023年F1第3戦オーストラリアGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が3位表彰台

■評価 8/10:チームメイトに圧勝したヒュルケンベルグ

ランド・ノリス(マクラーレン):予選13番手/決勝6位
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選10番手/決勝7位

 ランド・ノリス(マクラーレン)は決勝終盤までほとんど目立たない存在だったが、実は週末のスターのひとりだった。ジェッダでのひどいミスの埋め合わせをすべく挑んだものの、MCL60のスピード不足のため、予選では13番手が精いっぱい。しかし決勝でのパフォーマンスは非常に良かった。角田裕毅の前に出たことは、最終結果において大きな意味を持った。クリーンエアのなかでタイヤを労わり、ペレスを相手に20周近く勇敢にディフェンスし、何度かのチャレンジの後に、ヒュルケンベルグを抜き去った。

 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、週末を通してチームメイトを完全に圧倒して7位を獲得した。セミリタイア状態だった彼と契約したハースの決断は正しかったということだろう。予選Q3では小さなミスを犯してふたつポジションを失い、決勝ではノリスに対してかなり際どい防御をしていたが、それでも今回のヒュルケンベルグは高い評価に値する。

2023年F1第3戦オーストラリアGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
2023年F1第3戦オーストラリアGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)


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