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F1 ニュース

投稿日: 2023.07.06 15:05
更新日: 2023.07.06 15:28

【全ドライバー独自採点/F1第10戦】天候とFIAの失態。困難な週末に真価を発揮した5人

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F1 | 【全ドライバー独自採点/F1第10戦】天候とFIAの失態。困難な週末に真価を発揮した5人

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はオーストリアGPのスプリントの週末を振り返る。

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 今回、トラックリミットの件は無視してドライバーの評価を行った。レッドブル・リンクではコクピット内のドライバーからは白線は見えづらい。そのため、今回のような事態になることを予測して手を打たなかったFIAにすべての責任があるからだ。それでなくてもオーストリアGPはドライバーにとって困難な週末だった。スプリント・フォーマットでフリープラクティスは1回しかなく、土曜日はウエットからドライへと移り変わる厄介なコンディションになり、日曜日決勝には前日とは全く異なるドライとなった。

■評価 10/10:レッドブル・リンクの王者。圧倒的な力で支配したフェルスタッペン

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/スプリント・シュートアウト1番手/スプリント1番手/決勝1位

 そういう週末にひとり際立っていたドライバーがいた。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)だ。プラクティスの初めからメインレースの終わりまで、レッドブル・リンクの王者というべき圧倒的な力で支配した。フェルスタッペンはほとんどミスをしなかったが、ケビン・マグヌッセンやルイス・ハミルトンに対する妨害でペナルティを取られなかったのはラッキーだった。

 スプリントレースでは、1周目にチームメイトに芝生に押し出されたものの、リードを守った後は、1周あたり1秒近くの差をつけて勝利した。大きな自信を持って戦っていたフェルスタッペンは、日曜決勝のバーチャルセーフティカー(VSC)導入中に、フェラーリ2台とは異なりステイアウト、最初のプランに従って走り、シャルル・ルクレールを抜き去り、簡単に引き離していった。終盤にはファステストラップを狙うためにピットストップし、ソフトタイヤに交換するという決断を下し、これも成功させて、追加で1点を加算した。ただ、正直言って、これについては、報酬に対して大きすぎるリスクを冒したと思う。

2023年F1第10戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝
2023年F1第10戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝

■評価 9/10:競争力の低いマシンで週末ベストのラップを見せたヒュルケンベルグ

シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選2番手/スプリント・シュートアウト6番手/スプリント12番手/決勝2位
ランド・ノリス(マクラーレン):予選4番手/スプリント・シュートアウト3番手/スプリント9番手/決勝4位
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選3番手/スプリント・シュートアウト5番手/スプリント3番手/決勝6位
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選8番手/スプリント・シュートアウト4番手/スプリント6番手/決勝リタイア

 フェルスタッペン以外で唯一リードラップを記録したのがシャルル・ルクレール(フェラーリ)だった。週末のなかで波があったものの、予選Q3のラップはとても美しいもので、特に高速コーナーの走りは見事だった。

 土曜日の複雑なコンディションでは、自分が求めるハンドリングをマシンから得られずに苦しんだが、日曜日のドライコンディションでは、パフォーマンスを取り戻した。驚異的なスピードを発揮し、より新しいタイヤを履き、より速いマシンに乗るフェルスタッペンを全力で抑えようとする姿を見て、ルクレールがどれだけ優れたドライバーかを改めて思い知った。条件が揃ったときの彼は、凄まじい力を発揮する。

2023年F1第10戦オーストリアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)が2位を獲得
2023年F1第10戦オーストリアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)が2位を獲得

 ランド・ノリス(マクラーレン)は、いつもこのトラックで高い競争力を発揮する。すべてのコンディションで速く、メルセデスとアストンマーティンを真っ向勝負で打ち負かし、チームに大きな自信をもたらした。日曜決勝ではカルロス・サインツやセルジオ・ペレスと戦い、レース後にサインツがペナルティで降格されたために、ノリスは4位を手に入れた。今回のノリスは、アグレッシブでありながらミスをせず、今シーズンここまでのペース不足はMCL60に起因していたということを強く示した。

 カルロス・サインツ(フェラーリ)が6位という結果に終わったのは残念だ。彼は間違いなく、もっと上位にふさわしい仕事をした。全体的にルクレールよりも優位に立ち、土曜日の複雑なコンディションでとても良い走りをした。ただ、金曜予選Q3ではチームメイトにかなわなかった。

 日曜決勝の彼のペースはルクレールと同等、あるいはそれ以上だった。VSCの間にチームはサインツをルクレールの後ろで待機させたためにポジションを失い、タイヤが新しい状態の時に、ペレス、ハミルトン、ノリスを追い越さなければならず、スティントの終盤にタイムをロスする結果になった。サインツとペレスのバトルは週末のハイライトのひとつだった。レース後のペナルティで6位に降格されたのは、非常に残念だ。

 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、週末を通してチームメイトを大きく上回った。ドライの金曜予選ではハースを8番手につけるという大健闘を見せ、スプリント・シュートアウトでは、週末ベストのラップを走った。そのラップで、競争力のないマシンでグリッド2列目を確保したのだ。ウエットからドライへと変化したスプリントでは、インターミディエイトタイヤが持つ限りライバルたちに抵抗した後、ポイント圏内を走りながらドライタイヤに交換するという勇気ある決断をした。それが奏功し、ヒュルケンベルグは貴重なポイントを手に入れた。あと1周あれば、アストンマーティン2台を追い抜くこともできただろう。トリッキーなコンディションで彼がどれだけ速いかを改めて証明した。しかしメインレースではトラブルに見舞われ、わずか12周でリタイアしなければならなかった。

ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
2023年F1第10戦オーストリアGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)


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