前戦アメリカGPのフリー走行で転倒、左手首を骨折したアレックス・リンスの代役として急きょ、出場が決まった津田拓也は、予選23位、決勝17位だった。
ヘレスは、ヨーロッパのライダーにとっては、全員がホームグランプリといってもいいほどの経験値がある。それだけに、代役として出場するには、シーズンを通じてもっとも厳しいサーキットとなる。
津田は「思っていた以上に厳しかったが、テストと違って、いろんなライダーの後ろにつけたし勉強になった。ただ、暑くなった決勝日はまったくグリップしなかったし、予選までの経験値がまったく役に立たなかった。いままで経験したことがないような状態だったしビックリしました」と決勝は驚くことになった。津田のコメント通り、今大会はほとんどのライダーが同様の苦しみを味わった。
何もかもが初めての経験となった津田だが、金曜日の午後のフリー走行では、こんなハプニングも。それは、メカニックのミスでリンスの「42」のカウルをつけて走ってしまったからだ。
「単純にミスなんだろうけど、リンスに早く帰ってきてという意味なんだろうね」と笑っていた。
マルク・マルケスの弟のアレックス・マルケスがMoto2クラスで初ポールポジションから初優勝を達成した。
マルケス弟は「今日はタイヤに厳しいレースだった。フランクが目の前で転んでからは、後ろの差を確認しながら限界を超えないように走った。今日は母の日(スペインでは第1日曜日)なので、この優勝を母に捧げたい」と大喜び。
2014年にMoto3チャンピオンになり、Moto2クラスで3年目の初優勝。今大会転倒リタイアも開幕3連勝を達成のフランコ・モルビデリとのチームメート同士の戦いが、ますます厳しさを増すことになりそうだ。
来季のMotoGPクラスへのスイッチが現実味を増した中上貴晶。そのニュースが流れた今大会は気合満点で挑んだが、後続のマシンの転倒に巻き込まれ、再スタートするも21位がやっとだった。
中上にとっては残念な結果だったが、HRCの桒田哲宏レース運営室室長は、「来年以降、MotoGPに上がる可能性を考えて、今年はしっかり頑張ってもらいたい。もちろん成績によっては、来季のMotoGP参戦も視野に入れている」と「成績次第」という条件はつくが、早ければ来年にも中上のMotoGP参戦の可能性が浮上した。
2014年の青山博一以来となる日本人MotoGPライダー誕生が現実味を増し、日本のレースファンには嬉しいニュースとなった。
決勝レースが終わった翌日に行われた公式テスト。バレンティーノ・ロッシは新旧のフレームをテストするも、全体的には従来のフレームでタイヤテストに集中。一方のマーベリック・ビニャーレスは、新型フレームに集中し、トップタイムをマークしていた。
新型フレームと言っても、見た目はほとんど変わらず。判別の方法は、車検のステッカーを貼っているかどうかだけ。じっくりと写真を見比べたが、その違いは写真ではわからなかった。
おそらく、部分的な強度を変更しているだけなのだろう、それだけ車体作りは繊細なもの……という印象だった。