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海外レース他 ニュース

投稿日: 2017.03.19 11:45

琢磨「素晴らしいスタートが僕たちには必要だった」

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海外レース他 | 琢磨「素晴らしいスタートが僕たちには必要だった」

 ただし、そうした成果が週末の滑り出しに反映されることはなかった。金曜日最初のプラクティスは16番手。その日の午後に行われた2回目のプラクティスではタイムを記録する前にクラッシュを喫した。「インディカーを戦うようになって、いちばん困難な金曜日だったかもしれません。とても過酷な1日でした。最初のセッションは、満足できるとはいえないものの、それほど悪くはありませんでした。僕たちのチームではセットアップのフィロソフィーを4人で分担して試すことになっていますが、僕はちょうど調子が出始めてきたところでした」

「ところで、リーグが指定するブレーキは今季からブレンボではなくなりました。新しいブレーキは硬い素材を用いたもので、作動温度域が非常に限られていることが特徴です。このため、温度が低い状態では満足に作動しませんが、高温になると急激に減速Gが立ち上がります。このブレーキでレースが走りきれるかどうか、誰もが悩んでいたほどで、リーグは開幕直前にブレーキダクトのモディファイを認めることになったほどです。第2セッションが始まるとき、ペダルのフィーリングが驚くほどソフトだったので、走行前にブレーキのエア抜きを行いました。アウトラップの段階でブレーキとタイヤはしっかり準備が整っていると思えたので、ブレーキペダルを踏み込みましたが、まったく感触がありません。そしてタイヤがロックしてコントロールを失い、ウォールにヒットしたのです。これで走行時間を大幅にロスすることになると同時に、ソフトコンパウンドのレッドタイアを試す機会も失ってしまいました。今季より、2回目のプラクティスで1台あたり1セットずつレッドタイアが試せるよう、ルールが改正されていたのです」

「チームのメカニックたちは最高の仕事でマシーンを修復してくれましたが、土曜日に行われた3回目のプラクティスではまだチームメイトから大きく遅れている状態でした。けれども、3人のチームメイトとエンジニアたちが全力でサポートしてくれました。これは本当にこのチームの強みだと思います」

 その言葉どおり、琢磨は最初の予選グループで3番手のタイムをマーク。12台が進出する第2セグメントに易々と駒を進めた。ここで4番手につけた琢磨はファイアストン・ファスト6に挑み、5番グリッドを勝ち取ったのである。

「マシーンがあんなにいい状態になって、本当に最高の気分でした。思い切り攻めることができたうえに、とてもコンペティティブで、不満はなにもありません。もしかしたら、もっといい成績を残せたかもしれませんが、状況が状況だっただけに、この結果には心から満足できました」

 ところが、日曜日のウォームアップはあまりコンペティティブではなかったうえに、チームメイトのハンター-レイにブレーキトラブルが発生、ウォールに真っ直ぐ激突するという事件が起きる。それでも琢磨は110周の決勝で好スタートを決めることができた。レースが始まると、ジョセフ・ガーデンを早々とパスして4番手に浮上。序盤のコーションが終わると琢磨はこのポジションを確固たるものとし、ウィル・パワーがピットストップを余儀なくされたところで3番手に順位を上げる。そして26周目にトニー・カナーンとミカエル・アレシンの接触で破片が散乱してイエローが提示されたとき、琢磨はトップを走るジェイムズ・ヒンチクリフのわずか5秒後方につけていた。

 もっとも、このイエローは予選を上位で終えたドライバーにとって最悪のタイミングだった。後方グループのドライバーたちは1回目のピットストップを終えていたため、コーション中にピットストップを行ったヒンチクリフ、スコット・ディクソン、琢磨のトップ3は集団の最後方に並ぶこととなり、琢磨は12番手に転落したのだ。しかし、リスタートが切られると琢磨は驚くべき手腕を発揮し、たった1周で7番手まで挽回してみせたのである!

「僕たちはおよそ半年もレースから離れていました。しかもセントピーターは空港の滑走路を使っているためにスタート部分はとてもワイドですが、ターン2はコークボトルでコース幅は急激に狭くなります。つまり、とんでもなくリスキーなのです! でも、僕の周りにいたのは信頼のおけるドライバーばかりだったので、とてもいいバトルを演じることができました。ヒンチクリフは新品のレッドタイアで、僕たちはユーズドのレッドを履いていました。だから僕は“ディキシー”を抑えていられるだけで満足で、その後は後続を引き離しながらヒンチクリフに迫っていきました」

「2回目のリスタートでの僕のマヌーバはもしかしたら数名のドライバーをアンハッピーにさせてしまったかもしれませんね。ディクソンが追い上げを図ってヒンチクリフのインサイドに飛び込み。僕はそのさらにイン側を刺し、4ワイドとなりながら全員をオーバーテイクしました。ライアンは僕より5つ上のポジションにいて、僕たちは互いに接近していきました。このとき勢いの付き過ぎていた僕を彼が避けてくれたので、2台は接触せずに済みました。彼の協力なしにいい成績は残せなかったでしょう。僕たちは引き続きレース戦略に従って走っていましたが、3番手になるのは難しくないと思っていました」


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