「2月に行った最初のテストのときから、このクルマが気に入っていた」と明かしたジロラミ。「新しいクプラは正しい方法で生まれた。もちろん開発は現在も続けているが、クルマはすでに非常に優れているよ」
迎えた土曜18時過ぎのレース1は、ジロラミがポールポジションからホールショットを奪うと、その背後ではモンテネグロがコンテとバルダンに飲み込まれる展開に。これでクプラのトップドライバー2名がレースを支配し、最後はペナルティ裁定を受けたバルダンが4位に降格するかたちで欧州デビューのTCRサウスアメリカ王者が3位表彰台を獲得。2024年のTCRヨーロッパ最初のレースで、新型クプラ・レオンVZ TCRがワン・ツーフィニッシュの華々しいデビューを飾った。
「僕らは素晴らしいラップをした。モンラウとクプラには感謝しなければならない。なぜなら僕はそれを運転しただけだからね。それほど、クルマは本当に素晴らしかった」と勝者ジロラミ。
「今日は難しいレースになると思っていたから、良いスタートを切ることが非常に重要だったし、それを実行した。全開で行ってギャップを築き、後半はタイヤマネジメントに集中した。そこが大きなポイントだったからね」
明けた日曜のレース2は、リバースポール発進の好機だったボルコヴィッチのFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRがスタートで失速。代わってフェリペ・フェルナンデス(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がリードを奪い、その背後には早くもコンテのクプラが浮上してくる。
そのコンテは3周目で首位浮上に成功すると、レベンテ・ロソンツィ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)やボルコヴィッチらと3番手争いを展開していたジロラミも、ライバルのバトルによる接触でドアが開き、労せずして2番手のポジションを手にいれる。
その後、アクシデントによる車両改修でセーフティカーが導入されたものの、ギャップがリセットされたリスタートでもクプラ艦隊の牙城は崩れず。コンテ、ジロラミのオーダーで週末完全制覇のワン・ツーをリピートした。
この週末に先んじて世界デビューを飾っていたTCRサウスアメリカでの勝利により、TCR規定を統括するWSCグループの技術部門より最低重量1265kg、車高80mmのバランス・オブ・パフォーマンス(BoP/性能調整)適用を受けていた新型クプラ・レオンVZ TCRだが、先代モデル比で重量10kgと車高10mmの増加(エンジン出力は100%を維持)となっていた数値が、このTCRヨーロッパ開幕戦を直前にして「車高10mmダウンを許可」と基準値に戻されていたことも、この結果を後押しするかたちとなった。
続くTCRヨーロッパの第2戦は、5月17~19日にベルギーのゾルダーで開催され、以降の5戦はすべてスタンドアローンの勝負が予定されている。