これで残り2周の延長リスタートを迎え、ブッシュとバートンの並びで最後の勝負へ突入すると、古巣の元僚友クリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)のサポートを得たボトムのカマロ8号車がリードを得てホワイトフラッグへ突き進む。
するとこのハイバンクでカップシリーズ初出場のパーカー・レツラフ(ビアード・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に強烈なプッシュを受けたバートンが驚異的な伸びを見せ、バックストレートでブッシュの前へ。
なんとか21号車マスタング“ダークホース”のリヤバンパーに追いすがり、テールを突っついて陽動した8号車カマロZL1だったが、ふたたび前に出ることは叶わず。この夜、いずれかの事故に巻き込まれずにチェッカーフラッグを受けたのはわずか5台、16名のリーダーが生まれた激闘を制したバートンが、プレーオフへの自動切符を手にする貴重なカップ初勝利を飾ってみせた。
「ウイニングラップは中ずっと泣いていた」と、まさに感極まった様子で語ったバートン。
「もちろんこの仕事から解雇されたし(編注:来季はジョシュ・ベリーが移籍加入)、彼らウッド・ブラザーズのためにできる限りのことをしたかった。チームは人生で素晴らしい機会を与えてくれたし、僕の除籍にあたり100勝目を挙げることができて最高だ。さぁ、これでプレーオフだ。ダーリントンに行って何が起こるか見てみよう」
一方、わずか0.047秒差で敗れたブッシュは、キャリア連続勝利のみならずプレーオフ出場権を獲得できる最大のチャンスを逃したことに「ただただイライラする」と失意を滲ませた。
「デイトナで最後のリスタートまで勝っていたが、レースでの勝利を収めることができなかった。何が間違っているのか、今の自分に何が足りないのか分からない」と続けたブッシュ。
「ここ数戦は勢いが増していることは分かっていたし、21号車(バートン)の前に出たかったが、20号車(元僚友のベル)の方が(背後につければ)味方になると分かっていた。今日はただ、いつものようにうまくいかなかっただけだ……」
併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第22戦『Wawa 250 Powered by Coca-Cola(ワワ250パワード・バイ・コカ・コーラ)』は、こちらも警告多発の乱戦をライアン・トゥルーエクス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)が制し、今季2勝目を飾る結果に。
一方、ミルウォーキーマイルで開催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズの第16戦、今季プレーオフ緒戦となる『LIUNA! 175(リウナ175)』は、こちらもバートンと同じく2世ドライバーのレイン・リッグス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)がキャリア初優勝を果たしている。


