「コーナーごとに前を抜くのが戦略だったからね」と、27番グリッドからのストラテジーを冗談交じりに語ったダイアー。
「とにかく少しのミスも犯さずに、各コーナー、1周、ひとつのオーバーテイクに集中したよ。今日の目標はフィニッシュまでたどり着くことで、マシン開発に必要なデータを収集することだった。それは達成できたと思うし、チームのみんなも喜んでくれていると思うよ」
一方、43号車と同様にマシン自体の速さは証明しながらも、まさかのアクシデントに見舞われたのが93号車だった。
スタートドライバーのウィルキンスがトップ10をうかがう走りを見せ、コックスへと交代するべくピットへ。ウィルキンスがコクピットから脱出しようとしたそのとき、事件は起こった。
「左側の肩ベルトが僕のハンス・デバイスに引っかかってしまったんだ。それでうまく身動きが取れない状態になってしまった」とウィルキンス。
「なんとか外へ出てピーター(・コックス)がマシンの中へ入ったんだけど、今度は右の肩ベルトがねじれていて……。NSXのショルダーベルトは今日の僕らにはなんの恩恵ももたらしてくれなかったみたいだ」
これで大幅にポジションを失う事態となった93号車は、14位までの挽回に留まりレースを終えることとなった。
「誰よりも10倍以上ドライバー交代の練習をしたと思うが、ご覧の通りまだ何かが間違っているのかもしれない」と肩を落としたコックス。
「今回はNSX GT3にとって初のパーマネント・サーキットでの1戦となったが、まだまだマシン自体にも改善する余地が残されている。シーズンは長いし、引き続き開発作業を進めていく必要があるね」
今回RTRは初のスプリントXフォーマットに翻弄される週末となったが、次戦第4戦は5月20~21日のカナダ・オンタリオ戦となり、ボウマンビルにあるカナディアン・モータースポーツ・パークでも引き続きスプリントX形式が採用される。