一方、福住仁嶺は試練が続いた。

 スパ・フランコルシャンでは予選8位から好走を見せていたが、ブレーキペダルが長くなるトラブルに続いて突然のエンジントラブルで出火。燃えたモノコックを修復して最後尾スタートのレース2はDRSが機能せずどうすることもできなかった。

 モンツァでも悪い流れは断ち切れず、ステアリングが今度は左に曲がった状態。チームメイトのマキシミリアン・ギュンターのマシンには予選時に4速ギヤが2つ組み込まれているというあり得ない整備ミスに見舞われるような状況で、共同オーナーを務めるクリスチャン・ホーナーが約束したチーム力の強化は果たされていない。

 DAMSからエンジニアを獲得したものの、それ以前の状態だ。ブダペストでエンジンシャッフルが果たされてからはパワーの不利は小さくなったものの、マシンの根本的な部分がまともにレースができる状態ではない。

 マシンはリヤのグリップ感が欠け、オーバーステア傾向。自信を持って攻めることもできなければ、リヤタイヤを守ることもできない。

「周りについていくためには全力で走らないととてもついていけないくらいのマシン状況だし、そんなことをしたらタイヤがすぐにタレてしまうので、抑えて走っていました。自分のペースで走っていかないと、周りのペースについていくとレース後半はタイヤがダメになってしまいますから」

苦悩が続く福住仁嶺

 ただでさえ苦しい状況なところに牧野が初優勝を挙げてしまっただけに、福住の悔しさや焦りや苛立ちは並大抵ではない。今直面しているのが自分の力でどうにかできることではないだけに、自分の実力を披露するチャンスすら与えられない今の状況が余計にもどかしい。

 さすがにレース1の直後は感情が高ぶっていた福住だが、それでも全力を尽くすことでしか道は開けないと気持ちを切り替えた。

「どちらかというと、吹っ切れるしかないなと思って。今シーズンは周りのことは気にせず、自分がやれる精一杯のレースをやるしかないですから」

 FIA F2は残り2ラウンド。多くのドライバーが初体験となる次のソチ・オートドロームでは、牧野と福住の対応力も問われることになる。泣いても笑っても、今シーズンは2ラウンドしかない。

FIA F2は残り2ラウンド4レース。シーズンは終盤戦へ

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