「我々はソーシャルメディアでの反応と、最初にマシン画像を公開した際に受け取ったすべての熱烈なメッセージに圧倒された。そのカローラが初めてトラックを走り出したときは感情的な瞬間だったし、すべてのメンバーに強い自尊心をもたらしてくれた」とディック代表。

「ホイールベース、空力性能を念頭に置いたマシンシルエット、重心位置、そして重量配分の点で、私たちが以前に走らせていたアヴェンシスとは全く違うクルマになっている。それはつまり、学ぶべきことが山ほどあり、しっかりと慎重に物事を進めなくてはならないことも意味する。でも今は、このカローラがどんな個性と特徴を持って機能するか、完全に把握できたと言っていいね」

 一方、今季からBTCCデビューを果たす元F1ドライバーのマーク・ブランデルは、その同じ頃にイギリス・シルバーストンでAmDが運営するトレードプライスカーズ・レーシングのアウディS3セダンBTCCのステアリングを握り、自身のBTCC初テストに臨んだ。

 F1で3度の表彰台を獲得した52歳のルーキーはこの日、小雨舞うシルバーストンでドライ路面とウエットパッチが混じる寒さ厳しいダンプコンディションでのツーリングカー初テストとなった。

 それでも1992年のル・マン24時間ウイナーは最初のドライブに満足だと語った上で「まだ学ぶべきことがたくさんありそうだ」と、謙虚な姿勢で1日を振り返った。

「この日を迎えられてうれしいし、僕が予想していたよりもマシンは良かったよ」とブランデル。

「難しいコンディションのなかで、なんとか限界に近づこうと挑戦してみたが、同時にBTCCで成功を収めている面々がどれほどのレベルで戦っているかが理解でき、尊敬の念も抱いたよ」

「コプス・コーナーの進入では5速からシフトダウンしてステアすると同時に、駆動輪のフロントを軸にリヤが巻き込むように流れる。これはFFマシンの特徴だけど、僕のコンフォートゾーンとは大きく外れた挙動でもあるね」

「これはF1やプロトタイプスポーツカーなど、数多くの経験をしてきた僕のキャリアをもってしても、慣れるまでに時間が掛かる作業になりそうだ。フロントホイールドライブのBTCCカーから最大限のパフォーマンスを引き出すためには何が必要か、それを見つける旅になりそうだ」

 シルバーストンの翌日にはオールトンパークへ移り、さらなるマイレージを稼いだブランデルは、この後もノックヒルでのテスト継続が予定され、さらに3月末のブランズハッチ“メディアデイ”を経て、4月6~7日に同サーキットでの開幕戦を迎えるスケジュールとなる。

「速いマシンで限界を見極めて、横滑りしながらドライブするのは最高の感触だ。僕はまだ少し“サビ”を落としきれていないし、今後も多くのことを学ぶだろう。その最初のステップを踏めて本当に楽しかった。今年は面白いシーズンになりそうだ」

『カローラ』としては約30年ぶりのBTCC復帰となる
イングラム、ディック代表ともに「ベースカーの優れた素性が活かされた」と自信を見せる
初テストでアウディのステアリングを握ったマーク・ブランデル。代表のショーン・オランビーも「彼はすぐにプッシュし始めた」と満足げなコメント

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