ここが選手権リーダーに対しポイントを埋めるチャンス到来と察知したサットンは、S字出口の右コーナーSeagrave(シーグレイブ)でブッチャーのフォードをパスして5番手に進出する。
先頭集団は首位イングラムと2番手のカミッシュが、トヨタvsホンダという熾烈なテール・トゥ・ノーズのバトルを展開するも、レース巧者イングラムが再三のレイトブレーキングで迫るシビックを抑え切って16周を走破。わずか0.644秒差でトヨタ・カローラBTCCが待望の2020年初優勝を手にし、カミッシュ、ニールと特別カラーのシビックが続くポディウムとなった。
そのままリザルト順のグリッドでスタートが切られたレース2は、スタートで2番手カミッシュが出遅れチームメイトに先行を許したものの、2周目にすぐさまポジションを奪還する。そこから前戦のリベンジとばかりに再びカローラを猛追すると、今度は0.291秒差まで詰め寄ったものの同じく16周のレース距離で逆転は叶わず。
この日2度目の表彰台もまったく同じ顔ぶれとなり、レース中に白煙を上げたメルセデスに代わってサットンのインフィニティが4位に入り、最初のレースで手にした選手権リードをさらに拡大する結果となった。
「正直なところ、この週末に2勝することなんて考えてもいなかった。ここまでもうまく戦ってきたつもりだが(スポンサーである)ギンスターズと(今季からファクトリー支援を受ける)TGRのメンバーにとって最高に刺激的なレースウイークになった。ル・マン24時間での3連覇、WRC世界ラリー選手権での勝利に、このBTCCでの連勝を加えることができて素晴らしい結果になったよ」と、週末の成果を誇らしげに振り返ったイングラム。
そして最終のレース3は、リバースグリッド抽選により前戦8位だったクックがポールから発進。2番手に僚友チルトン、3番手にブッチャー、4番手にWSRの若手トム・オリファント(BMW330i Mスポーツ/チームBMW)を従えて1コーナーへと向かっていく。
ダブルウイン達成のイングラムはカローラにサクセスバラストを満載しながらも、サットンが操るインフィニティの背後6番手でオープニングラップを通過する。初戦同様に5周目のSeagrave(シーグレイブ)でふたたび仕掛けたサットンは、FR同士の対決を制して4番手オリファントをオーバーテイク。そのバトルを間近で注視していたイングラムも、インフィニティの後を追うようにBMWをパスし、ともに3番手のフォードを追走する展開となる。
そのまま最後の表彰台争いにもつれ込んだ3台だが、攻撃と防御の応酬でポジションを入れ替えるには至らず。前方ではグレーにピンクのアクセントが鮮やかなクック、チルトンのBTCシビック艦隊がワン・ツーを決め、フォードのブッチャーが久々の表彰台を確保し、FF勢がポディウムを占拠。しかし4位に入ったサットンがさらに選手権での優位を拡大するポイントを得ることとなった。
続く2020年BTCC第6戦は休む間もない連戦となり、9月26~27日の週末にシルバーストンでいつもどおりの決勝3ヒートが争われる。