更新日: 2020.10.03 11:38
ホンダのF1活動終了発表に佐藤琢磨も悲しむ「F1にホンダがいないのは信じられないが、精一杯応援したい」
アメリカ・インディアナポリスは日本と13時間の時差があるが、そんな離れた場所にもニュースは瞬時にやってくる時代だ。
アメリカ東部時間で10月2日の早朝4時、ホンダは2021年限りでF1参戦活動を終了すると八郷隆弘社長が東京本社で発表。そのニュースはハーベストGPが行われているインディアナポリスのパドックにも届いた。ホンダF1とは浅からぬ縁のある佐藤琢磨にとっては悲報以外の何物でもないだろう。
「ただただ残念ですね。自分も長く第三期のF1を一緒にやらせていただし、今回の復帰で2チーム(レッドブル、アルファタウリ)とも優勝して素晴らしい結果を残していましたから……」
「2020年、2021年も全力で頑張っていくと思いますけど、2022年以降に関してはホンダの決定を尊重したいです。ですがホンダF1のファンの自分としては非常に残念です。SRSをやっている僕としても、みんなが思っている気持ちと一緒だし、ホンダの一員としてモータースポーツ活動を頑張って前に進めて行きたいと思います」
ホンダF1に惜別の思いを込めながらも、F1への感謝も付け加えた。
「僕がこうしてアメリカのインディで頑張れているのも、F1をやってきたからだし、F1を夢見てイギリスF3をやって、F1に上がって、すべては繋がってると思うんですよね」
「F1を走っていなかったら、インディに来ることもなかったでしょう。F1にホンダがいないのはちょっと信じられないけど、あと1年半あるから精一杯応援したいと思います」
ホンダF1のドライバーとして最も長くステアリングを握った琢磨としては、口には出せない特別な思いもあろうし、2度のインディ500制覇はF1を経てこその成果であったことは、誰も否定はしないだろう。
だが今はインディカードライバーである佐藤琢磨としては、目の前にあるレースに全力を傾注するしかない。
およそ40日前にインディ500で優勝したブリックヤードに帰ってきた琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングだったが、木曜日のプラクティスから苦戦した。
75分のプラクティスでは20番手と後方に沈んだが「タイムが出ない理由はわかっていた」と気落ちする様子もなかった。
夕方の予選はさらに気温も下がった。予選でグループ1に振り分けられた琢磨は、ブラックタイヤのアタックでは12台中6番手のタイムをマークして、レッドタイヤに履き替えた。そしてアタックラップに入ったその周にターン2の立ち上がりからスピンしてグラベルベットへ。
脱出出来ずに赤旗となってしまった。これで琢磨は赤旗の原因を作ったために、予選ベスト2タイムを抹消されグループ1の最後尾になってしまう。
総合で24番手というポジションから、金曜日のレース1が始まった。インディ500のウイナーが最後列からスタートいうのは、なんという皮肉だろうか。
スタート直後から琢磨はペースを上げて追いまくると思いきや、ペースが上がらず20番手前後にとどまっていた。
「前のクルマを抜くためにウイングを寝かせてダウンフォースを減らしていたんですが、コーナーもきつくなってなかなか前のクルマを抜けませんでした」
まるでミド・オハイオのレースを再現しているかのような展開だったが、順位を上げる作戦は常に考えていたようだ。
「計算上は3回ピットでないと厳しかったんですがイエローコーションを期待して、燃費もセーブしながら走っていました。もし序盤にイエローが出たらすぐにピット入って、燃料を足して、1回+2回のような形にしようと。やはり燃費を抑えるとペースも上がらないし、イエローも出るような展開にはなりませんでしたね」
ミド・オハイオほどの苦戦は感じられず、前の間隔が空いた時にはペースが上がり、ニュータイヤを履いた直後のペースは良かった。エリオ・カストロネベスやライアン・ハンター-レイ、セバスチャン・ブルデーらを抜いてポジションを上げていった。
「最後にレッドタイヤを履けたら良かったんですが、昨日の予選でスピンしたタイヤはリスクが大きいのでチームは使わない判断をしました」
「7月のレースの時と違うのは、気温の違いでタイヤのデグラデーションとかも変わってきてましたが、あの時はリヤサスペンションが壊れていたのに、その時とペースが変わらないのは良くないですね……」
いくつかの反省はありながらも6つポジションを上げて18位でレースを終えた琢磨。
土曜日のレース2は午前に予選、午後に決勝となるワンデーレース。カーナンバー30の復活を期待しよう。