前日の予選レースでも最終コーナーの飛び出しが非常に良く、予選ポールシッターだったジョージ・ラッセル(ハイテックGP)をパスしてみせた山下は、この決勝でもポジションアップを狙っていた。しかし、セットアップが狙いどおりにいかず、「いちばん重要な最終コーナーのスピードが、オーバーステアで上げられなかったのが痛いです。そこで最高速を上げられなかった」と逆に防戦する展開になってしまった。

 3周目、山下はこの日は格段にスピードが上がっていたフェリックス・ロゼンクビスト(セオドール・レーシング・バイ・プレマ)にパスされ、さらにアイロットにも抜かれてしまう。ただ、冷静さが魅力の山下。セーフティカーが入る展開のなかで「2回目のセーフティカーのあとはまわりのペースが下がったようで、リスタートで抜くことができた」とアイロットをパス。4番手を取り戻し、最後まで表彰台圏内を狙った山下だったが、3位のセッテ・カマラには届かず。4位でレースを終えた。

「表彰台にいくことができず悔しいです」と山下はレース後語った。

「今回、日本人ではないスタッフと英語でやり取りしていたので、そこはいい経験ができましたし、トップ争いとはいかないまでもそれなりに上位で走れたので、今後の収穫にはなると思います」

 ただ、やはり「F3の集大成」として挑んでいただけに、表彰台という結果を残せなかったのは大いに悔しいようだ。

「もう1年出たいですね(苦笑)。悔しいです。これじゃ集大成にならないです」と山下は言う。近年のマカオGPは経験値がものを言うだけに山下が出場しても違和感はないが、それほどの思いがあったということだろう。

 来季、山下は土屋武士に代わってスーパーGT300クラスでVivaC 86 MCをドライブすることが“内定”している。ただ、今回のマカオでの活躍で、世界に“ヤマシタ”の名を刻んだ。来季以降のキャリアにもきっといい影響を及ぼすはずだ。

フェリックス・ロゼンクビストと競り合う山下健太
フェリックス・ロゼンクビストと競り合う山下健太

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