翌日に開催された第15戦の予選ではストフェル・バンドーン(メルセデスEQフォーミュラEチーム)がポールポジションを獲得し、オリバー・ローランド(ニッサン・e.ダムス)が2番手、ミッチ・エバンス(ジャガー・レーシング)が3番手に続いた。
2020/21年“シーズン7”の最終戦となり、展開次第ではランキング上位13名にチャンピオン獲得のチャンスがある決勝レースがいよいよ幕を開ける。
そのスタートではいきなりの波乱が起こり、レッドシグナル消灯で各マシンがスタートダッシュを見せるなか、なんと3番グリッドのエバンスがトラブルで動くことができない。後方のマシンたちはギリギリのところで回避するも、11番手スタートのモルタラが避けきれずエバンスに突っ込んでしまうアクシデントが発生。この激しいクラッシュでモルタラとエバンスはそのままリタイアとなり、ランキング2位と4位が早くも姿を消すことになる。
レースは赤旗中断を挟んで再スタートが切られたが、コントロールラインを通過した直後、ランキング3位につけるジェイク・デニス(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)が1コーナーへのブレーキングで姿勢を乱しウォールに激突してしまう。これでデニスもリタイアとなり、チャンピオンシップ争いはランキング1位のニック・デ・フリース(メルセデスEQフォーミュラEチーム)が圧倒的優位な展開に。
一方のトップ争いはトップを走行するバンドーンのペースが上がらず、10周目にナトーがバンドーンをかわしてトップに浮上すると、ローランドも後に続き順位を上げる。レース残り15分、ディフェンディングチャンピオンのダ・コスタと前日の覇者であるディ・グラッシがヘアピンで絡み、ダ・コスタのマシンがウォールにクラッシュしてしまったためセーフティカーが導入された。
再スタート時には2番手のローランドがトップのナトーを激しく攻め立てるがオーバーテイクには至らず。その後方ではアンドレ・ロッテラーとパスカル・ウェーレインのポルシェ2台とメルセデス2台が接触しながらポジションを争う。
この争いでバンドーンは3番手に浮上するが、完走さえすれば、ほぼチャンピオン獲得という状況のデ・フリースは一旦落ち着いて後方に下がる堅実な走りを見せる。
そしてレースはフィニッシュを迎え、ナトーがトップを守りきり初優勝、2位ローランド、3位バンドーンという表彰台になり、8位でチェッカーを受けたデ・フリースがフォーミュラE世界選手権初年度のワールドチャンピオンを獲得した。
また、チームメイトのバンドーンが3位表彰台に上ったことで、メルセデスEQフォーミュラEチームはジャガー・レーシングを逆転してチームタイトルも手に入れ、嬉しいダブルタイトルを獲得してシーズンを締めくくっている。


