次に、インディカー・シリーズのルーキー・オブ・ザ・イヤー争いに目を向けてみよう。こちらはシンプルにチャンピオンシップポイント獲得数の多寡で決定することになっている。
今シーズン、インディーカーにデビューしたルーキーは7人。そして、ポートランドからの最終2戦にはさらにもうひとり、ユーリ・ビップスがレイホール・レターマン・ラニガンから参戦することが発表されている。

その中でレギュラーとして2023年シーズンを戦ったドライバーたちは、マーカス・アームストロング(チップ・ガナッシ)、スティング・レイ・ロブ(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)、ベンジャミン・ペデルソン(AJ・フォイト・レーシング)、アグスティン・カナピノ(フンコス・ホーリンガー・レーシング)の4人(カーナンバー順)。
シーズンも残すところ2戦となって、ルーキーオブザイヤー獲得に最も近づいているのはアームストロングだ。彼のここまでのベストリザルトはトロントでの7位。これは今年のルーキーが記録した最上位リザルトでもある。

また、アームストロングの乗るカーナンバー11にはオーバルレースで佐藤琢磨が搭乗していた。ニュージーランド出身ドライバーはストリート及びロードコースのみの出場だから、フルエントリーのライバル勢より5戦もレース数が少ないという厳しい条件を課せられていたが、179ポイントを稼いでルーキー最上位のランキング20位につけている。
FIA F2で3勝の実績を持つ彼は現在23歳。2024年もチップ・ガナッシ・レーシングに残ってフルシーズンエントリーをしたい意向だが、果たしてどうなるか。
アームストロングと20ポイント差の159ポイントでランキング21位にいるのはアルゼンチン出身のカナピノだ。

南米のツーリングカーキングはインディカーへの順応も早く、レースを完走する力が高いことも示して来ている。残り2レースでアームストロングを上回る戦績を残せば逆転でルーキー・オブ・ザ・イヤーとなる可能性はある。
しかし、フンコス・ホーリンガー・レーシングはシーズン進行と共にチームの実力を伸ばせずに来ており、パフォーマンスは停滞気味。チームメイトのカラム・アイロットも昨年以上に苦しい戦いを強いられており、状況は楽観できない。
ペデルソンはオーバルレースでスピードを見せた時もあったが、不運なものも含めてアクシデントが多過ぎた。彼はフォイトのチームと2年契約なので、来シーズンに繋がる走りを残り2戦で見せたいところだ。

今週末のポートランドは、昨年彼がインディライツ(現インディNXT)で優勝したコースなので本人も期待を抱いていることだろう。
残るロブは、チームメイトであるデイビッド・マルーカスがワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイで3位と好調であったときであったも、同じように好パフォーマンスを発揮することができなかった(2ラップダウンの21位)。

デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRは、今シーズンに向けてエンジニアやクルーのキーパーソンが他チームに引き抜かれてしまい、戦力低下が著しかったため、ルーキーが活躍するのが難しい状況となっていたのも事実だ。
それでもロブは、最終2戦でキャリアベストとなる活躍をする意気込みだ。特に最終戦のラグナセカに対する期待度は高い。彼は昨年のラグナセカでのインディ・ライツのダブルヘッダーレースで優勝と2位という好成績を残しているのだ。
フルシーズンを戦った4人のルーキードライバーたちが、1年間でどのような成長を果たしたのか。その答えはポートランドとラグナ・セカの最終2戦で明らかになる。