大変お待たせいたしました。『モータースポーツアワード2014』(レーシングドライバー・オブ・ザ・イヤー/レーシングカー・オブ・ザ・イヤー)ジャーナリスト達の見解の第2弾を発表します。各賞ナンバーワンを決定するためのもう一つの要素となる7名の特別審査員(一人持ち点20点)たちによる評価を点数と投票理由とともにお届けしちゃいます。
『モータースポーツアワード2014』とはオートスポーツwebと携帯サイトモータースポーツch共同で、2015年への期待と2014年の興奮を思い出すべく、数ある世界のモータースポーツを、ざっくりと5つの項目に分けて、みなさんと一緒に振り返ってみたいというもの。皆さんには各賞に編集部が勝手にノミネートしたドライバー、レーシングカー、ヘルメットデザインといった項目ごとに投票をして頂き、その中で皆様から頂いた投票ポイントと7名の特別審査員のポイントとを集計し、各項目において2014年のモータースポーツ界ナンバーワンを私たちで決定しよう……という投票企画です。
今回、ご協力頂いた特別審査員の方々は、モータースポーツジャーナリスト、レースアナウンサー、オートスポーツweb編集部、などモータースポーツメディアで活躍する以下の7名というラインアップ。
・今宮純(モータースポーツジャーナリスト)
・小倉茂徳(モータースポーツジャーナリスト)
・貝島由美子(モータースポーツジャーナリスト)
・ピエール北川(レースアナウンサー)
・田中康二(オートスポーツ本誌編集長)
・平野隆治(オートスポーツweb編集部員)
・桃原美奈(オートスポーツwebナビゲーター)
今年を象徴するドライバーやマシン、ヘルメットのナンバーワンを獲得するのは? 最終結果の発表は明日行いますのでもう少しお待ちくださいね。これを読んだ皆さんも共感できる内容や思わず「へ~」と感じてしまう内容など、皆さんが投票した内容を思い出しながら読んでみるのも良いかもしれません。さらにこの日はF1、スーパーGT、スーパーフォーミュラー、WECのカテゴリーにおける2014年のベストレースの発表もありますのでお楽しみに。
それではさっそく、特別審査員7名の視点から見た『モータースポーツアワード2014』の結果を発表します。
今宮純(モータースポーツジャーナリスト)
F1中継の解説を長年担当し、独自のワードでファンからの知名度も抜群。F1を中心にモータースポーツを追い続けるベテランで、独自の着眼点から取材した原稿を数多くの媒体に寄稿。著書も多数。
・レーシングドライバー・オブ・ザ・イヤー
ルイス・ハミルトン:4点、ダニエル・リカルド:3点、ニコ・ロズベルグ:1点
『64年F1史上で王者はちょうど半数の32人。その半数の16人が“2冠以上"覇者で栄えあるそのメンバーに、ハミルトンが名を連ねた。彼自身は6年ぶり2チームで達成、異なる環境で年月をおいての達成に意義がある。勢いあるチームにエース君臨して“連覇"するケースが多いがそれとは異なるから。ここに彼の進化を見る。リカルドは「近未来王者」候補であることを実証。ベストルーザーのロズベルグ、敗因から学び30歳10年目の再挑戦を期待する。』
因みに、今回審査ポイントの対象にはなりませんが以下のドライバーにもポイントを付けられていました。
(ボッタス2点)
・レーシングカー・オブ・ザ・イヤー
メルセデスAMG W05 ハイブリッド:5点、フォース・インディアVJM07:2点、ウイリアムズFW36:2点、レッドブルRB10:1点
『危機は何度もあった。連勝の裏で発生していたマイナートラブル事象、人事問題(TDのひとりB・ベル辞任)、夏に続発したハミルトン予選問題、さらにベルギーGPでの2台接触事件。これらを克服しコントロールしてきたのはP・ロウ、T・ウォルフ、N・ラウダら首脳陣。本社側も彼らに一任、ベストチームワークだった。限られたリソース集中、入念なタイヤ分析に基づくレース戦略、規律を守るドライバーコンビ、フォースインディアはチーム過去最高得点(!)。後半得点力アップしたウイリアムズ、中盤までに3勝レッドブル、見せ場をつくった。』
小倉茂徳(モータースポーツジャーナリスト)
F1やインディカーの解説ではその穏やかな物腰と幅広い知識でファンに親しまれる。14年シーズンはスーパーフォーミュラを中心に取材を行い、イベント等にも多数出演。スーパーフォーミュラの知名度向上に尽力している。
・レーシングドライバー・オブ・ザ・イヤー
松田次生:20点
『インパルからニスモに移籍して、GT-R王座奪還という大きな使命を受け、その期待どおりの結果をクインタレッリ選手とともに出した。本当はこの二人ともトップに選びたかったが、一人を挙げるとなると、新加入で大きな期待とプレッシャーのなかで結果を出した松田選手を挙げた。』
・レーシングカー・オブ・ザ・イヤー
ダラーラSF14・トヨタRI4A:20点
『開幕戦でデュバル選手と話した中で「この数年フォーミュラカーに失われていたものが戻ってきた」と言わしめた。俊敏でドライバーの意のままに操れるうえ、バトルと追い抜きもしやすいので、予選も決勝も楽しくなった。また、性能の割にきわめて低コストなことも出色。エンジンは未来のクルマのための走る実験室であり、トヨタは性能と信頼性を高次元で実現していた。』
貝島由美子(モータースポーツジャーナリスト)
14年シーズンはWEC世界耐久選手権やスーパーGT、スーパーフォーミュラを取材。語学力を活かしての外国人ドライバーを中心とした取材力に定評があり、WECの中継では現地からのドライバーインタビューも担当している。
・レーシングドライバー・オブ・ザ・イヤー
ルイス・ハミルトン:10点、松田次生:6点、セバスチャン・ブエミ:4点
『結局メルセデス1強となったF1だったが、最終的にはハミルトンが見せた精神的な強さがチャンピオンタイトルにつながった。何だかんだ言っても、やっぱりF1タイトルは世界一の証かなと思うので10点。松田選手は10数年GTに出場してきたが、ようやく獲れた初タイトルに対して。ブエミは、WEC各レースで印象的な速さを見せていたから。』
・レーシングカー・オブ・ザ・イヤー
メルセデスAMG W05 ハイブリッド:5点、ダラーラSF14:7点、トヨタTS040 ハイブリッド:5点、ポルシェ919 ハイブリッド:3点
『メルセデスはF1のチャンピオンマシンだから。SF14はどのメーカーのエンジンを積んでいるかということではなく、F1マシンの値段&スピードと比べた時に、余りにもコスパに優れており、参加ドライバーたちからも大絶賛されていたので。トヨタTS040は、新時代スポーツカーとしてのチャンピオンマシンだから。でも、ポルシェもカッコ良かったので、ちょっと点を入れてあげたかったという。』
ピエール北川(レースアナウンサー)
14年シーズンはスーパーGT、スーパーフォーミュラのオフィシャルアナウンサーとして場内実況を担当。F1日本グランプリでの場内実況でも知られているほか、イベント司会としても活躍。幅広いカテゴリーの知識と軽妙な語り口を織り交ぜた実況で人気を博す。
・レーシングドライバー・オブ・ザ・イヤー
松田次生:10点、ニコ・ロズベルグ:6点、セバスチャン・ローブ:4点
『松田選手は悲願のスーパーGTタイトルを獲得し、これでフォーミュラニッポン(現スーパーフォーミュラ)とSGTの両選手権を制した貴重な選手になったので10点。ロズベルグ選手は初のF1タイトル獲得は逃したが、鈴鹿でポールポジション獲得や今年のF1を間違いなく盛り上げた役者として6点。ローブ選手は世界選手権のラリーからレースへ華麗に転身した初年度ながら勝利を飾ったり、鈴鹿S字で予選のとき見せた走りは流石の神業だったので4点。』
・レーシングカー・オブ・ザ・イヤー
トヨタ TS040 ハイブリッド:8点、メルセデスAMG W05ハイブリッド:7点、ニッサン GT-R ニスモ GT500:3点、ダラーラ SF14・トヨタ RI4A:2点
『トヨタは、独自に磨き上げてきた日本のハイブリッド・レーシング技術でWEC初のダブルタイトルを達成したことに8点。メルセデスはF1史上最も難解なレギュレーションで見事な力を発揮した車に仕上げたので7点。ニッサンGT-Rは新ルールの下、あらゆるコースや条件に対応し、タイトルを獲得した素晴らしいGT500カーだったので3点。ダラーラSF14・トヨタは軽量コンパクトで強力な新エンジンと乗った誰もが絶賛する新シャシーでの初タイトルに2点。』
田中康二(オートスポーツ本誌編集長)
副編集長時代にはJGTC/スーパーGT、F1を担当し、2004年には、現在も毎年刊行されているGT公式ガイドブックを立ち上げた。その後、F1速報の編集長を歴任し、今年からはオートスポーツ編集長を務めている。かつてはドライバーとしてF4も戦った。
・レーシングドライバー・オブ・ザ・イヤー
ニコ・ロズベルグ:20点
『世界トップのスピードを誇るハミルトンに対して真っ向勝負を挑み、とくに予選一発で互角以上の速さを見せたロズベルグ。タイトルこそ獲り損ねたものの、そのスピードが決してハミルトンに劣っていないことを証明した。何より、最終戦アブダビGP直後、覇を争ったチームメイトを祝福する姿は「機械だけが主役」と誤解されがちなレースが、あくまでも「人間によるスポーツ」であることを改めて世界中のファンに知らしめてくれた。』
・レーシングカー・オブ・ザ・イヤー
ニッサンGT-R ニスモGT500:5点、トヨタTS040ハイブリッド:5点、ポルシェ919ハイブリッド:5点、メルセデスAMG W05ハイブリッド:5点
『GT500の「ニッサンGT-R」、WECの「トヨタTS040ハイブリッド」と「ポルシェ919ハイブリッド」、そしてF1の「メルセデスAMG W05ハイブリッド」の4台に各5点ずつを配点した。機械的(GT500)、電気的(F1、WEC)と方式こそ異なるが、これからのモータースポーツにおいてスタンダードとなりそうな燃料流量規制に対して、いち早く最適解を導いたことがその理由。また、運動/熱エネルギー回生についても思想の感じられる車両を選択した。』
平野隆治(オートスポーツweb編集部員)
スーパーGTやスーパーフォーミュラなどの国内カテゴリーを主に担当し、14年シーズンは両シリーズを全戦取材。スポーツカーやツーリングカーなど、国内以外のカテゴリーも手広くカバーしている。記事製作だけでなく、デザインや映像製作なども担う。
・レーシングドライバー・オブ・ザ・イヤー
ルイス・ハミルトン:3点、セバスチャン・オジエ:3点、中嶋一貴:2点、マルコ・ウィットマン:2点、ホセ-マリア・ロペス:2点、ロニー・クインタレッリ:2点、松田次生:2点、谷口信輝:2点、片岡龍也:2点
『これは難しいぃぃ! 悩んだ末に、チャンピオンを獲得したドライバーたちに分配しちゃう形になりました。全然選んでないって!? そうおっしゃらずに(笑)。チャンピオンを獲得するということは、速さだけではない“強さ”を見せたということだと思うんです。その点で、挙げたドライバーたちはそれ相応のプレッシャーに勝ち抜いたということ。やっぱり選べないっす。』
・レーシングカー・オブ・ザ・イヤー
メルセデスAMG W05 ハイブリッド:3点、ダラーラSF14・トヨタRI4A:6点、BMW Z4 GT3:5点、トヨタTS040ハイブリッド:4点、ラーダ・グランタ 1.6T:2点
『こちらもなんだかかんだでチャンピオンマシンばかりになってしまった気が……(笑)。F1メルセデスとTS040は、レギュレーションをしっかりと読み解き、確実に作り上げてきた印象。見た目としても良かったのでは(笑)。SFのダラーラは、文句ナシに称賛に値する車両だと思います。GT300における抜群のレースペースをみせたZ4も特筆モノでした。ラーダは少ない予算の中であの敢闘ぶりは称賛に値するので、2点プレゼントです。』
桃原美奈(オートスポーツwebナビゲーター)
元レースクイーンという経歴を持ち、モータースポーツへの並外れた愛情を買われてASwebナビゲーターに就任。ブログや動画で様々な情報をお届けするとともに、14年シーズンのスーパーGTでは毎戦優勝予想を行っていた。愛称は"桃んが”。
・レーシングドライバー・オブ・ザ・イヤー
中嶋一貴:10点、ニコ・ロズベルグ:10点
『今季WEC、スーパーフォーミュラ、スーパーGTと、どのレースでも活躍した中嶋一貴選手。本当は20点満点にしようかと思うくらい今季の活躍は素晴らしいものでした。ニコ・ロズベルグ選手はワールドチャンピオン経験者のハミルトンと一緒にコンストラクターズチャンピオンを獲得。自身がそのレースについての感情を動画でアップする等のエンターテイナーな部分はファンにとって嬉しいもの。そういう部分でも楽しませてくれました。』
・レーシングカー・オブ・ザ・イヤー
メルセデスAMG W05 ハイブリッド:5点、アウディR18 e-トロン・クワトロ:5点、ダラーラSF14・トヨタRI4A:5点、ダラーラSF14・ホンダHR-414E:5点
『シーズンを通してノーズについて賛否両論あったF1ですが、速いマシンは格好良く見えますよね。実際にチャンピオンを獲得したメルセデスAMG W05 ハイブリッドのマシンは格好良かったと思います。アウディR18 e-トロン・クワトロはカラーリングやマシンの格好良さはもちろん、サウンドも大好きです。ダラーラSF14はトヨタもホンダも本当に魅力的で個人的な好みとして昨年までのスウィフトよりフロントウイングの形が特に好きです。』