ARTA Project プレスリリース
SUPER GTシリーズ第6戦鈴鹿サーキット
決勝
ARTA NSX、パンクからの火災により12位
ARTA Garaiyaは戦略が的中し2位表彰台獲得
■GT500
伝統の一戦であるSUPER GT第6戦『ポッカGTサマースペシャル』は決勝日を迎え、朝からの晴天の下、3万4000人のファンが鈴鹿サーキットを埋めた。予選日からマシンに確かな手応えを感じていたラルフ・ファーマン&伊沢拓也のARTA NSXは、決勝の戦略を見すえ午前10時10分からスタートしたフリー走行に臨んだ。まずはファーマンからコースインし、ファーマンが6周、伊沢が8周を消化。ファーマンがセッション序盤に1分57秒985というトップタイムをマークし、決勝に向け期待を抱かせた。
大観衆に見守られる中、14時にスタートが切られた決勝レース。昼過ぎから急速に鈴鹿サーキット上空には雲が広がり、スタート時にはポツポツと雨が降り始めていたが、路面を濡らすまでにはいたらず。ファーマンは良好なバランスのマシンを駆り、序盤は4台による2番手争いを展開する。
ファーマンは硬めのタイヤでライバルよりも長い33周まで1回目のルーティンストップを遅らせ、ピットイン直前のスパートも奏功し3番手までポジションを上げた。
1回目のピットインでチームはリヤタイヤのみの2本を交換し、第2スティントを担当する伊沢を送り出す。しかし、前後タイヤのグリップの違いに苦しんだ伊沢は#3 GT-R、#6 SC430の先行を許してしまい4番手に。それでも伊沢はその後ポジションを守りきり、55周目に再びファーマンに交代した。
ファーマンはピットアウト後快調に走行し、ライバルのピットインの間に2番手にポジションを上げるが、担当スティントも残りわずかになったところで、ファーマンはタイヤに異常を感じ取る。タイムが維持できていたため、ピットは予定のルーティンストップのタイミングまでファーマンをコースに留めるが、まさにルーティンストップの前周であった85周目の1コーナーで、ARTA NSXの左リヤタイヤがパンク。ファーマンはなんとかマシンをピットに戻そうとコースを回ったが、パンクの影響で出た火花がオイルラインに引火。130RでARTA NSXは火災を起こしてしまいストップ、12位完走扱いでレースを終えることとなった。
●佐藤真治エンジニアのコメント
「予選までは良い調子できていたのですが、決勝で伊沢のペースが上がらなかったり、多少のつまづきがありました。そんな中でも採れるベストの作戦ができていたとは思います。パンクというアクシデントでレースを失ってしまったことが本当に悔やまれますね。次戦は富士スピードウェイでの一戦ですが、前回の富士でも調子は良かったですし、ウエイトも全車軽くなりますから、もう一度仕切り直して勝利を狙っていきたいと思います」
●ラルフ・ファーマン選手のコメント
「第1スティントはマシンがすごく良いバランスで、長いスティントを走ることができた。他のチームがピットに入った後クイックラップを刻んでポジションを上げることができたが、僕の最後のスティントでパンクチャーの症状が出てしまい、最終的にはパンクしてしまった。裂けたタイヤがオイルラインに火を点けてしまったんじゃないかと思うんだけど、すごい炎が出てしまった。炎で何も見えなくなってしまったよ。体は大丈夫なので、次回また頑張りたい」
●伊沢拓也選手のコメント
「最後は残念な結果になってしまいました。ラルフから交代した後ペースが上がらなかったんですが、おそらく2輪交換でバランスが崩れてしまったのではないかと思います。そんな中でもちゃんとしたペースで走らなければならなかったんですが、早めにピットインするしか無かったです。今回予選は良かったですし、前回の富士でも表彰台に登っているので、次戦も頑張りたいと思います」
■GT300
予選ではウエイトのハンデを跳ね返す走りで6番グリッドを確保した新田守男&高木真一のARTA Garaiyaは、午前のフリー走行で新型のミシュランタイヤのマッチングを深めながら12周を走行。新田が2分10秒286というタイムをマークし、クラス6番手につけた。
決勝レースでは、高木がスタートを担当。燃料を多く積み、レース展開を見ながら終盤にピットインのタイミングを調整する作戦を採ったARTA Garaiyaは、序盤はライバルとのバトルを展開しながら、2番手までポジションを上げた38周目にピットイン。新田に交代する。
新田は6番手を走行しながら、前走車との間隔が詰まった46周目にピットに入り、燃料給油のみのショートストップを実施。粘り強く走り76周目に高木にバトンをつなぐ。高木はピットアウト後 #46 Zとバトルを展開、セーフティカーが導入されたタイミングが合い、レース再開後は3番手にポジションを上げた。終盤、#2 紫電、#46 Zとの三つ巴のバトルを展開しながらチェッカーを目指した高木だが、チェッカー間際に#2 紫電が失速した隙を逃さず2番手に浮上。そのままチェッカーを受け、チャンピオンシップで大きな意味を持つ2位表彰台を獲得した。この結果、ARTA Garaiyaは計59ポイントで再びランキング首位に浮上することとなった。
●金曽裕人監督のコメント
「今回のレースは、硬めのタイヤで燃料をたくさん積み、幅を持たせた戦略で臨みました。セーフティカーのタイミングで3番手に上がることができましたが、作戦が見事に的中した結果だったと思います。その作戦の幅を広げてくれたミシュランタイヤのおかげでもありますね。内容としては勝てませんでしたが、悪くないレースでした。それと今回、オートバックスセブンの湧田節夫社長がいらっしゃって、しゃもじのお守りを持ってきてくれたんです。このお守りがあると毎回レースでは好成績を収められるので、そのおかげもありました(笑)。今回ポイントリーダーに戻ることができましたが、次戦以降も落とすことができないレースが続きますし、自分たちの戦い方を続けていきたいですね」
●新田守男選手のコメント
「交代した後は燃料を目一杯積んで走りました。僕の時に装着したタイヤがあまりロングランの性能を見ていないタイヤだったんですが、路面温度が下がったことによって想定よりもペースが下がってしまいました。中盤はもう少し前に行けると思いましたが、リヤタイヤがうまく発熱しませんでしたね。チェッカー間際はこのまま3位だと思っていたんですが、驚きましたね(笑)。もちろん勝てれば良かったんですが、僕たちの目標であるシリーズ争いを考えると今回の成績を達成できたのは本当に良かったと思います。残り3戦、まだまだ厳しいレースが続きますが、頑張っていきたいです」
●高木真一選手のコメント
「僕が担当した第1スティントは、周りにライバルがいたのでなかなかうまくペース配分ができませんでした。最後のスティントでは#46 Zにかわされてしまいましたが、それでも何が起きるか分からなかったですし、燃料も軽くなって、タイヤのバランスも良くなったのでついていくことができましたね。セーフティカーのタイミングで3番手に上がることができたんですが、前の2台はパフォーマンスも互角で抜くのは厳しかった。でもワンミスを逃さないようにした結果、最終的に2位を獲得することができました。次戦の富士も厳しい戦いになるかもしれませんが、タイトル争いを考えて1ポイントでも多く獲りにいきたいと思います」
