毎年9月にもなると来期に向けてドライバーの移籍話に花が咲く。まあ、部外者として好き勝手なことを言いながらドライバーの去就を楽しむというところがあるが、親しいドライバーがチームを離れたり引退する様を見るのは余り楽しいことではない。今年も8月から9月にかけてドライバーの動向が賑やかになり、目が離せなくなった。

 私はフェリッペ・マッサが可愛くて仕方なくずっと応援してきたが、フェラーリで8年間過ごし、2008年の最終戦の最終ラップにチャンピオン・タイトルを失った(それも僅か1点差で)このブラジル人ドライバーがフェラーリを追い出されると知って、いささか残念に思っている。マッサはここ数年鳴かず飛ばず。それゆえフェラーリが彼をいつまでも雇っているとは思わなかったが……まぁ、よくここまで契約を延長してくれたものだとも思っている。

 マッサのクビは、大きな力の波に飲み込まれた結果と言える。ロータスのNo.1ドライバーであるキミ・ライコネンが、チームのサラリー未払いにウンザリして今年限りでチームを離れることになり、そのライコネン獲得にフェラーリが動いた。1チームにドライバー3人は不要。そこでマッサが押し出されることになったのだ。マッサ自身、最近の不調からフェラーリを離れることになる可能性に気づいており、今回のチームの決定を受け入れたというわけだ。

 では、フェラーリを離れるマッサの2014年は? この原稿を書いている時点ではまだ未定だが、ライコネンの抜けたロータスへの加入を希望しているという。現実的にロータス以外のトップチームに空席はないので、そのように決まってくれれば、マッサ応援団の私は嬉しい。

 さて、マッサの話はこれくらいにして、そのマッサを追い出す原因になったライコネンのフェラーリ加入について少し考えてみよう。直接ライコネンに尋ねたわけではないので本当のところは知る由もないが、フェルナンド・アロンソのチームメイトとしてやっていけるのかといえば、かなり難しいのではないかと思う。アロンソが手を組むのに難しい存在だということではなく、ライコネンのワンマン主義が何らかの波を立てることになるのではないかと考えるからだ。

 これは、アロンソとライコネンの力が拮抗しているということを意味する。力に差があるドライバー同士なら、いかなる状況でもクロスすることはないが、アロンソとライコネンはまさに50:50のバランスにあるように思う。チームはこの2人にレースでチームオーダーは出せまい。ライコネンはマッサではないということだ。となると、2人を巧みにコントロールする能力が指揮官には必要とされる。ステファノ・ドメニカリにその能力がないとはいわないが、ルカ・ディ・モンテゼモロ会長の出番が増えるに違いない。

 フェラーリドライバーの力関係がどうなるか、これを観るだけでも2014年は第三者にとれば最近になく面白いシーズンになるはずだ。えっ、小林可夢偉? 彼からは情報がまったく出てこないし、彼の周辺からも何も聞かれない。そうこうしているうちに彼の望むチームのシートはドンドン減少している。またザウバー? それともフォースインディア? この辺りのチームに加入出来れば良いが、それ以下のチームには彼は興味を示していないということになれば、さてどうするのだろう?

赤井邦彦(あかいくにひこ):世界中を縦横無尽に飛び回り、F1やWECを中心に取材するジャーナリスト。F1関連を中心に、自動車業界や航空業界などに関する著書多数。Twitter(@akaikunihiko)やFacebookを活用した、歯に衣着せぬ(本人曰く「歯に衣着せる」)物言いにも注目。2013年3月より本連載『エフワン見聞録』を開始。月2回の更新予定である。

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