今季からIZODインディカー・シリーズに導入された、フルコースコーション後の『ダブルファイル・リスタート』システムについて、初のオーバルでの導入となったインディ500のレース後、ドライバーたちから「危険すぎる」として非難の声があがっている。
ダブルファイル・リスタートシステムは、NASCARで導入されていたスタートシステムで、リスタート時に順位ごとに奇数順位と偶数順位に2列を形成するというもの。しかし、開幕戦のセントピーターズバーグからロードコースでの使用ではドライバーから非難が多くあがっており、オーバルとなるインディ500でもその声が続いていた。
チャンピオンシップをリードするウィル・パワーは、インディ500を終えこのダブルファイル・リスタートの危険性を「信じられないくらい危険だったね。おかしいよ。もちろん、このシステムの中でポジションを上げることもできたが、それでもこれは愚かなことだ」と指摘する。
一方、インディ500で9位に入ったマルコ・アンドレッティはさらに語気を強め、「そのシステムについて、すごくやわらかく表現しよう。『彼らは誰かの命を奪う気なのか』とね」と批判する。
「ファンにとって良いということは素晴らしいことかもしれない。でも、その中で戦っている我々にとってこの危険は明らかにおかしい。宝くじみたいなもんだ」
また、11位でフィニッシュしたエド・カーペンターも批判の声をあげているひとりだ。
「僕もダブルファイル・リスタートにやられたひとりだよ。何人かのレースを台無しにして、何人かのレースを助けるシステムだね。これじゃレースにならないよ。リスタートではラップダウンのマシンも間に挟まなければいけない。彼らはトラックを遮ってしまうし、行くところはないんだ」
「それがファンが望むことだと言うけれど、本当にファンが望むのはこれなんだろうか?」
また、リスタート時にアクシデントに遭いクラッシュを喫したEJビソは、アクシデントの時の様子を次のように語っている。
「僕はグラハム・レイホールとジェームス・ヒンチクリフと走っていた。そうしたら、おそらくヒンチクリフがシフトをミスしたと思うんだけど、ターン4の出口で失速したんだ。そこでグラハムはインサイドに行き、僕はアウトサイドに行った。そしてターン1に向けて接近していた時に、僕は左リヤをヒットされて、スピンしてしまったんだ」とビソ。
一方でダブルファイル・リスタートには好意的な意見もある。インディ500で3位に入ったグラハム・レイホールは「コンペティションという面において、リスタートはすごく気分が良かったよ。たくさんのオーバーテイクの機会があるし、僕はマシンの中ですごく興奮していた」とコメントしている。
インディカー・シリーズでは毎戦リスタートの際の加速位置や手順を細かく指示しているが、今季導入後、毎戦のように非難の声がドライバーから上がっている。
2011年インディ500ハイライト(www.indycar.com)
