16日行われたIZODインディカー・シリーズ第8戦ミルウォーキーの決勝レースは、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が勝利。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)は、レース中盤でクラッシュを喫しリタイアしている。
雨で1時間半遅れてスタートした伝統の1マイル・オーバル、ミルウォーキー戦を制したのは、今季6人目のウイナーとなったハンター-レイだった。142周目にエリオ・カストロネベス(ペンスキー)をパスしてからは、後続に付け入るスキを一切見せずにゴールまで走り切った。2位にはトニー・カナーン(KVレーシング)が入ったが、ハンター-レイとの間には5秒以上の差がある完勝となったが、蒸し暑さの中での戦いはゴールまで激しいものとなり、集まったファンはバトルを大いにエンジョイした。
3位は最終ラップにオリオール・セルビア(パンサー/DRR)をパスしたジェームズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)に。ハンター-レイとヒンチクリフのチームオーナーであるマイケル・アンドレッティは、開催不可能に陥りかけていたミルウォーキーでのレースを救済し、今年の開催にこぎ着けたプロモーターでもある。息子のマルコ・アンドレッティは15位と得意のショートオーバルで振るわなかったが、マイケルのチームで走るドライバーの3人のうちのひとりが“親孝行”の優勝を飾り、もうひとりが3位で表彰台に上る結果にマイケルもご満悦だ。なお、ミルウォーキーは今日の決勝を前に、来年度のレース開催を発表している。
この結果により、ヒンチクリフはランキング2位に浮上。代わってランキング3位となってしまったのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)。ディクソンは21番グリッドからのスタートで3番手まで順位を上げたが、103周目のリスタートでフライングをしたと判定され、ドライブスルーペナルティを受けた。
ディクソンはその後リードラップの最後尾である17番手まで順位を下げ、そこから11番手まで挽回してフィニッシュしたが、ペナルティの裁定が誤りだったことをレース後にインディカーは認めた。
この件について競技長のボー・バーフィールドは、計時システムにトラブルが発生した事を説明し、「責任は自分にある。レースにはこのようなミステリアスなことも起こりうるが、同じことが二度と起こらないように対策する。ディクソンとガナッシは非常に寛容で、すべてを説明した結果、理解をしてもらった」と語った。
セルビアはヒンチクリフにかわされ、あと一歩のところで表彰台を逃したが、20番手スタートだったセルビアは4番手フィニッシュでも賞賛されるべきだろう。
琢磨は24番手スタートで11番手までポジションアップを果たしたものの、アクシデントでのリタイアとなった。108周目、周回遅れのジェームズ・ジェイクス(デイル・コイン)とターン1で接触してしまったのだ。
「こちらとしてはジェイクスとはレースしていなかった。彼は周回遅れなんですから」と琢磨はナンセンスを訴えた。「ウィル・パワーとバトルをしていて、先行されて少しスピードが下がったことでジェイクスと並ぶ結果になりましたが、こっちはリードラップで、相手はラップダウン。それもターン1にサイド・バイ・サイドで入った。でもこっちにスペースをくれなくて、イン側のイン側でマシンが滑りました」と琢磨は状況を解説してくれた。
琢磨をパスしても、さらに12台抜かなければリードラップに戻れないジェイクスは、無理をしてまで琢磨をパスする必要はなかったが、ジェイクスは「バンザイ・アタックにやられた」と琢磨の走りを非難していた。