モータースポーツ関連書籍を取り扱っている代官山蔦屋書店に、ジェームス・ハントとニキ・ラウダの戦いを詳細に記録した写真集や、マクラーレンの50年を追った写真集など5点の書籍が新たに入荷した。
映画『ラッシュ/プライドと友情』の題材にもなっているハントとラウダの戦いを、チャンピオン争いを繰り広げた1976年シーズンを中心に収録した写真集『HUNT VS LAUDA』では、臨場感あふれる数々の大判写真とともに、ふたりの真の関係性を浮かび上がらせている。また、『McLAREN 50 Years of Racing』では、1963年に活動をはじめ、今年9月に創立50周年を迎えたマクラーレンの活動を詳細に記録。ブルース・マクラーレンの時代に始まり、現在のマーティン・ウィットマーシュ体制に至るまでのそれぞれの時代の流れが網羅されている。
ほかにも、今年のニュルブルクリンク24時間を豊富な写真で追った年鑑『24 Stunden Nurburgring 2013』や、2005年に開発されたフェラーリのサーキット走行専用市販車モデルであるフェラーリFXXについて、誕生までの道筋やこの車両で展開されているFXXプログラムの詳細を紹介した『Ferrari FXX Inside Out』、WRC世界ラリー選手権の初年度である1973年シーズンを余すことなく収録した『1973 Alpine-Renault Champion du Monde』も入荷となっている。
●HUNT VS LAUDA
ハント対ラウダ、1976年の戦い
ハードカバー/H287×W240/カラー・モノクロ/160p/英語 ¥5,670(税込)
ヒューマニズムが重んじられた時代のライバルストーリー
本書はN・ラウダとJ・ハントという、二人の実力派F1ドライバー同士の戦いを、最もドラマチックだった1976年を中心に綴ったヒストリー写真集です。見開きページごとに備わる、ドライバーの感情の在り様までが伝わる印象的で生々しい大判写真の数々と共に、激闘の76年シーズンを臨場感をもって再現。共に食うや食わずの下積み時代を重ねながら、F3からマーチF2、F1とシートを買いつつチャンスを伺い、ミスの無い走りで「コンピューター」の異名を取ったN・ラウダと、マーチF3からヘスケスF1時代、「壊し屋」の悪名を馳せつつ奔放な生活を好んだJ・ハント、水と油のように好対照な個性のコントラストから犬猿の仲のように語られた二人が、実際は互いの存在をどのように思っていたのか、本書を通して真の関係が浮かび上がって行きます。他にもタイレルP34やペンスキーPC4など当時を彩ったマシンも数々フィーチャーされ鮮やかに蘇るなど見処も多く、「CAN-AM CARS IN DETAIL」や「McLAREN FROM THE INSIDE」等、秀作揃いのDAVID BULL社が放つ、ドラマチックな人間模様を語る出色の一冊です。
●McLAREN 50 Years of Racing
チーム・マクラーレン50年史写真集
ハードカバー/H380×W262/カラー・モノクロ/295p/英語 ¥18,900(税込)
マクラーレン50年、戦いのドキュメント
1963年に活動を始め、2013年の9月を以って創立50周年を迎えたモーターレースの名門チーム「マクラーレン」。本書はその活動を詳細にドキュメントした大判写真集です。クーパーから早々にオリジナルF1製作、Can-Am挑戦と進んだB・マクラーレン時代、T・メイヤーがリーダーシップを執ってE・フィッティパルディやJ・ハントと共に成功を収めたM23の時代、技術革新と徹底した品質管理で常勝チームへと押し上げたR・デニスとスピードの遺伝子を持ったドライバー達の時代、新たな'強い'ドライビングセンスと欲望を衝突させた摩擦と軋轢の時代、経てのM・ウィットマーシュ体制と、それぞれの時代の流れを隈なく網羅、A・セナなど特に輝きを見せた人物には大きく紙面を割くなど、バランスの取れた構成となっています。40センチに迫る大きさの紙面に広がる300枚余りの大判写真のそれぞれは、空間の奥行きと共に被写体の感情の動きをも感じさせ、否が応にも作品世界に惹き込まれて行きます。史実を説明する文章と共に、各時代をマクラーレンで過ごした当事者達の当時を振り返る述懐が添えられ、何よりも説得力を持つ詳細で緻密な事実の数々が、写真からの情報と重なり合い、圧倒的な説得力をもたらすという点も大変魅力的です。出版は芸術性高い写真集の老舗であるプレステル社、同社としては2012年に発売された「McLaren The Art of Racing 」に続くシリーズ作品となりますが、前作では現代のレースとテクノロジーのみに焦点を当てており、収録される内容は余り重複しません。是非とも実物を手にとって、クオリティの高さを確認していただきたい一冊です。モータースポーツ好きの方であれば、必ずしや写真から溢れだす各時代のムードに酔いしれてしまうことでしょう。
●24 Stunden Nurburgring 2013
2013年ニュルブルクリンク24時間耐久レース年鑑
ハードカバー/H325×W240/カラー/239p/独・英語 ¥5,880(税込)
225台が見せる競演
ドイツにあるニュルブルクリンクサーキットを舞台に行なわれるのがADACニュルブルクリンク24時間耐久レース。メインとなるSP9クラスでは、ポールポジションを獲得したのはアウディですが、序盤活躍したのはアストンマーティン。その後雨が激しくなり、濃霧も発生した事により一旦赤旗中断、10時間の中断後に再開されたレースでは目まぐるしく変わったトップ争いを繰り広げ、各車が栄光のゴールに向かう24時間を豊富な写真で追っています。ニュルブルクリンクの一つの特徴である豊富な車種も細かに掲載されており、国籍豊かなエントリーを眺めているだけでも十分楽しめます。もちろん、今年も日本勢の3メーカーの活躍もしっかり収められており、豊田社長が写っている写真もあります。
●Ferrari FXX Inside Out
最速フェラーリFXXの秘密
ハードカバー/H260×W260/カラー/155p/英語 ¥12,600(税込)
フェラーリFXXプログラムを語る貴重な一冊
2005年、フェラーリ史上最速のサーキット走行専用市販車モデルを目指して開発され、進化(エボルツィオーネ)モデルとして、今なお最速を誇るフェラーリFXX、その専門書籍を入荷しました。本書は大きく2章に分けて構成され、前半ではFXX誕生の道筋が、後半では本車を特徴付けているFXXプログラムの詳細を紹介します。生産台数僅か30台、厳選された顧客オーナー自身のドライビングが次代のハイエンドモデル開発の一翼を担うというFXXプログラム、エアロダイナミクスを追求した先鋭的フォルムの車体と和やかで楽しげなプログラム風景の写真の数々から、その意義の特別さが伝わります。著者のP・バックマンはこのプログラムに参加するエンスージアストであり本書もフェラーリ公式の出版物ではありませんが、データの多くがフェラーリ内部から提供されており、CEOによる序文を以って書籍としての完成度に太鼓判を押しています。本書はその希少性からもフェラーリファンの貴重なコレクターアイテムです。
※本書は1000部の限定販売です。
●1973 Alpine-Renault Champion du Monde
1973年世界ラリー選手権 シーズン写真集
ハードカバー/H304×W217/カラー・モノクロ/286p/仏語 ¥8,820(税込)
百花繚乱の時代を綴るラリードキュメンタリー
世界各国の様々な路上を舞台にメーカーとドライバー達がしのぎを削るWRC・世界ラリー選手権、その初年度となった1973年の戦いを、全戦に渡って詳細にドキュメントした本書。73年はそれまで各国独自開催されていた歴史有るラリー競技の数々がFIAによって統括され、シーズンを通して全戦で争う選手権として初めてまとめられました。
本書では初戦のモンテカルロからサファリ、アクロポリスやサンレモ、ツールドコルスなど全13戦について、コースルートとチーム体制、各セクションの結果とドライバーらインタビューなど各戦の詳細が、当時取材を行った著者であるC・ヴェラの手によって丁寧に綴られていきます。当時はアルピーヌA110はもちろんフィアット124、フルビア、エスコート、シムカやサーブなど名車の数々と、S・ムナーリやB・ワルデガルド、W・ロール、T・マキネンにO・アンダーソンなど、歴史上の名ドライバーが群雄割拠、しのぎを削った時代でした。本書では未発表な物を含む400枚以上の写真を通じ、当時のレースシーンを生々しく伝えます。ポルトガルではシトロエンDSが、サファリではフェアレディZやブルーバードが活躍する姿など、魅力的な場面に目を見張ることでしょう。仏文書でありながら仏車のみならず各戦各車の争いを公平に扱った本書は、1シーズンという切り口でまとめた貴重な書籍としても、ラリーファンに広くお勧めできる一冊です。