スポーツランドSUGOで開催されているスーパーフォーミュラ第6戦の予選日、メディアとのミーティング場で白井裕JRP社長、そしてホンダの佐伯昌浩スーパーフォーミュラ・プロジェクトリーダーがマクラーレンのリザーブドライバー、ストフェル・バンドーンのスーパーフォーミュラ参戦について、歓迎の意を表した。

 10月15日に motorsport.com が伝えた、バンドーンの来季のスーパーフォーミュラ参戦のニュース。まだウワサ段階のようだが、スーパーフォーミュラ関係者は敏感に反応した。

 スーパーフォーミュラ第6戦SUGOの土曜日、恒例となっているサタデーミーティングの場で、白井裕JRP社長はこのバンドーンの話題についてメディアから問われた際、「いい話ですよね。ウェルカムです」とコメント。海外ドライバー、海外からの注目が高まっている状況に、喜びの言葉を残した。

「今日のフェイスブックにも書いたけど(笑)、それはいい話だと思います。ファンにとっても楽しいですよね。ヨーロッパでGP2に乗るのも(スーパーフォーミュラより)お金がかかるし、今はF1のリザーブドライバーと言ってグランプリに付いて回っても乗るチャンスはない。Tカーもないわけで、ドライバーにとっては非常に厳しい状況だと思います。そうであればどんどん日本に来てもらって、『自分はここにいるんだ!』と、スーパーフォーミュラでアピールしてもらいたいですね。エンジンの方も今、なんとかトヨタさん、ホンダさんにお願いして合計24台くらいはと思っていますし、F1リザーブドライバーに来て頂くのはウェルカムですよ」

 マクラーレンのバンドーンがスーパーフォーミュラに参戦となれば、当然、ホンダユーザーのチームになるだろうが、スーパーフォーミュラのプロジェクトリーダーを務める佐伯氏は、あくまで個人的な意見として、F1とスーパーフォーミュラへの私見を述べた。

「(バンドーンの話は)社内ではなにも聞いていないのですが、個人的には、F1の第3ドライバーがレースで乗る機会がないのであれば、こちらでスーパーフォーミュラに乗ってもらいたいなと考えています。それはホンダのためだけでなく、シリーズ全体を含めてもですね」

 すでに今季のGP2チャンピオンを獲得したバンドーンにとって、来季マクラーレンのF1リザーブドライバーを務めることになったと言えども、今年のケビン・マグヌッセンのようにレースに参戦する機会がなくなることは避けたいはず。かといって、GP2を卒業してF1以外で次に向かうフォーミュラ・カテゴリーは現在、世界的にも少なくなっている現状がある。

 F1に次ぐフォーミュラレースと言えばGP2、フォーミュラ・ルノー3.5、そしてスーパーフォーミュラと挙げられるが、フォーミュラ・ルノー3.5はルノーが撤退を発表しており、来季の運営が不透明。となれば、F1に次ぐフォーミュラ・カテゴリーとしてスーパーフォーミュラの名が挙がるのは、今ではごく自然ななりゆきとも言える。

 昨年からダラーラの専用設計シャシーの、トヨタ、ホンダの新型エンジンを搭載しているスーパーフォーミュラはドライバーからは扱いやすく、かつパフォーマンスが高いパッケージとして海外での評価が高まっている。

 F1リザーブドライバーがスーパーフォーミュラに参戦するようになれば、参戦するドライバーのレース感を養うだけでなく、国内ドライバーのモチベーションにもつながる。同じくSUGOのサタデーミーティングに参加したDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの野尻智紀も、ドライバーとして純粋な気持ちを述べた。

「GP2に参戦している松下(信治)はとても速いドライバーで僕も敵わないんじゃないかと思っているのですが、その松下にバンドーンのことを聞いたら『とても速くてミスの少ないドライバー』と言っていた。もし来年スーパーフォーミュラに参戦するのではあれば、そんなレベルの高いドライバーを間近で見てみたいですよね」

 JRPを含め、バンドーンのスーパーフォーミュラ参戦に関して国内側の障害となりそうなものは多くはなさそうだ。ヨーロッパ側からのニュースだったとは言え、今回のバンドーンのニュースはスーパーフォーミュラにとってはカテゴリー自体の存在感を高める絶好のチャンス。マクラーレン、バンドーン側の動きを待つだけでなく、F1リザーブドライバー数人を今年のオフのテストに招待してみるなど積極的な動きができれば、今後の展開も大きく開けて来るのではないだろうか。

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