ベッテル、スペイン・バルセロナの高速バトルを制す
2011年5月22日、バルセロナ
チェッカーフラッグの直前まで続いたバルセロナでの緊迫した高速バトルでは、レッドブルのセバスチャン・ベッテルがマクラーレンのルイス・ハミルトンを退けて優勝を飾りました。スタートからフィニッシュまで、2台による秒差の接戦が繰り広げられました。
ピレリの新型PZeroシルバーとPZeroイエローの組み合わせによって、彼らはチェッカーまで20周を残した早い段階で6位までを周回遅れにしましたが、2人の差はわずか1.5秒でしかありませんでした。最後のピットストップを終えてもなお、2秒以下の差のままで残り16周のバトルが続きました。
ハミルトンはベッテルと同じく4回ストップ作戦を採りましたが、新型PZeroシルバーで最速タイムを記録しながら最後までレッドブルを追いかけました。307.104kmの戦いを終えて、両者の差はたった0.6秒でしかありませんでした。最後の10周は1車身以下の間隔での一騎打ちとなり、渋滞の間を縫っての戦いとなりました。
まさにその頃、彼らのチームメイトであるジェンソン・バトンとマーク・ウェバーによって、同様の接戦が表彰台の最後のポジションをかけて繰り広げられていました。最後にはバトンが3回ストップ作戦のおかげで3位を獲得しました。
ウェバーはポールポジションからPZeroイエローでスタートしましたが、最後のスティントではPZeroシルバーを使用しました。上位勢はみな、新型PZeroシルバーを最後のスティントで使用しました。当初の想定通り、ソフト・タイヤとの性能差が大きかったためです。しかし従来型のハード・タイヤよりも硬いレンジにされたことによって、新品タイヤならば25周ほど走ることができるようになったのです。
耐久性が向上したことは、ルノーのニック・ハイドフェルドによって証明されました。彼は予選でタイムを記録できなかったため最後尾からのスタートを強いられ、PZeroシルバーで決勝のスタートに臨みました。3回ストップ作戦を採って21周目にPZeroイエローに交換し、最後には8位でポイント獲得を果たしています。
彼の後方では、ザウバーも他チームとは異なる戦略を採ってきました。PZeroシルバーを中盤のスティントに使用し、ソフト・タイヤを最後のスティントに使いました。この戦略も成功を収め、両ドライバーともが入賞を果たしています。スペインGPでポールポジションからスタートしたドライバーが優勝しなかったのはミカ・ハッキネンがポールのミハエル・シューマッハを下して優勝した2000年以来初めてのことで、このことからもレース戦略の重要性が証明されています。
ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリーのコメント:
「またしてもベッテルとハミルトンが最終ラップまで争いを繰り広げ、非常にドラマティックなゴールシーンでした。新型PZeroシルバー・タイヤによるバトルでした。2人とも素晴らしい走りで我々に最高のレースを見せてくれましたし、フェラーリのフェルナンド・アロンソの驚異的なスタートもスリリングでした。下位でも様々な興味深い戦略のバリエーションが見られ、ルノーやザウバーなどは特筆すべきでしょう。素晴らしいレースでしたが、我々は4回ストップのレースに満足してはいません。理想は3回だと考えています。この違いはハード・タイヤとソフト・タイヤの性能差によって生じたもので、どのチームも短いスティントで走ることを好んだためです。今回のレースペースの速さを見てもそれは明らかです。しかしレースの最速タイムが新型ハード・タイヤで記録されたというのも興味深いところです。これについては今後さらに分析を進めていきますが、まずは新型PZeroレッド・スーパーソフト・タイヤを投入するモナコとカナダの市街地サーキットという、これまでとは全く違ったチャレンジを楽しみにしています」
