ロシアGP、2日目は前日までの雨雲は姿を消してドライコンディションとなったが、依然として雲は多く、午後12時からスタートしたフリー走行3回目は気温16度という肌寒い天候で始まった。

 初日に予定していたプログラムを消化できなかったホンダは、予選とレースに向けてパワーユニットのセッティングの詰めを行うべく、60分間のセッションをスタート。ところが開始から30分過ぎ、セッションは赤旗中断。その後、再開されることなく終了した。

「予定していたプログラムをすべて消化できませんでしたが、サインツが無事で本当に良かった」と、新井康久総責任者。

 最終的なシミュレーションができないまま迎えた公式予選。特にフェルナンド・アロンソはスーパーソフトでのタイムアタック中に赤旗が出たために、2回アタックしていたジェンソン・バトンとは対照的に、ぶっつけ本番での予選となった。それはQ1で、明暗を分ける結果を生む。

 16番手から最後のアタックを開始したアロンソは、セクター1とセクター2で、14番手のバトンを上回る区間タイムを記録。「セクター2までのタイムを見れば、十分Q2に進出できる速さがあったんですが……」と新井総責任者は振り返るが、セクター3が自己ベストよりコンマ6秒遅かった。

「何があったのかはわかりませんが、セクター3をまとめていれば、Q2へ進出していたと思います。このコースはセクター1とセクター2が高速で、セクター3がテクニカルなので、ドライバーにとってもリズムを変えるのが難しいコース」と、新井総責任者はソチ・オートドロームの難しさを語った。

 サインツがクラッシュした場所はターン13。セクター3はターン13の手前224mから始まる。つまり、フリー走行3回目で赤旗が出されたときにスーパーソフトでアタックしていたアロンソは、セクター3を全力で走ることができないまま、セッションを終了していた。さらに前日のフリー走行2回目はウエットだったため、アロンソにとってスーパーソフトでセクター3を全力で攻めるのは、土曜の予選Q1が最初だった。

 ソチが難しいのはドライバーにとってだけではない。パワーユニットを供給する側にとっても同じである。

「アップダウンはないけれど、高速の部分は鈴鹿に似ている」と新井総責任者が語るように、ソチはどのパワーユニットメーカーにとってもデプロイ面で難しいコースだ。

「走行時間が限られていたわりには、うまくまとめられたと思います。この結果が、いまの我々の力」

 新井総責任者は予選13位と16位に終わった現実を受け止め、ホンダにとって初のロシアGPへ臨む。

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