F1日本グランプリ開催中の鈴鹿サーキットで、来年公開予定のF1映画『ラッシュ/プライドと友情』の記者発表が行われ、主役のひとりであるニキ・ラウダが登場、当時のエピソードなどを披露した。
この映画は、1976年のF1ワールドチャンピオンをかけて争ったラウダとジェイムズ・ハントのライバル対決をテーマに描いたF1作品。ラウダを襲ったニュルブルクリンクの壮絶なクラッシュを取りあげ、ふたりのライバルとしての友情をはじめ、奇跡的な復活を遂げたラウダがハントと王座をかけて臨む最終戦の日本GPまでを描いた壮大なヒューマンドラマとなっている。
日本グランプリ初日の金曜日、鈴鹿サーキットホテルの会見場に現れたラウダは、スポンサーロゴのついたトレードマークの赤いキャップを被って登場。はじめに、「かつては富士、そして今回は鈴鹿とまた日本に来ることができた。日本は大好きだよ」と述べ、記者たちの質問に答えた。
ラウダは、自身を描いたこの映画について、「ひとりの観客として映画を観て、初めて(76年のシーズン中)ニュルブルクリンクで自分が体験した大事故を客観的に観ることができた。映画としてもとても面白い作品で、ずば抜けた完成度だと思っている。レースシーンの迫力はもちろん、私とジェイムズ・ハントというふたりのレーサーの関係や葛藤が観る人の心に響く作品だ」とコメントした。
また、ハントとの思い出については、「今日、ここにジェイムズ・ハントが一緒にいないことが、悲しい」とラウダは語り、「本当はふたりで、この素晴らしい映画をビールでも飲みながら観たかったね。私たちはレーサーで、ライバルだったけれど、お互いをリスペクトしていた」と述べた。
一番好きなシーンについては、ニュルブルクリンクで大事故を起こした後の入院生活を挙げている。
「あのシーンでは、(瀕死の重傷から)まさに自分が、生きるために戦っているところ、妻や周りの人間が、あの時の私をどう見ていたのか知ることができたからね。……その後レースに復帰して、記者会見を行ったが、人々は私をショッキングな目で見ていた。インタビュー中も、私の目を見てくれないんだ。顔のやけどにばかり目が行っていた」と、当時の複雑な心境を明かした。
最後にラウダは、映画の中で相当なプレイボーイとして描かれているハントについて、「あんなもんじゃない! もっと凄かった」と述べ、会場の笑いを誘った。
ラウダも絶賛する『ラッシュ/プライドと友情』は、2014年2月に日本で公開されることになっている。